PR
スポンサーリンク

十勝岳は噴火警戒レベル3継続 マグマ噴火の可能性は?登山・美瑛・富良野への影響

災害
記事内に広告が含まれています。

【2026年9月17日更新】

9月16日、政府の火山調査委員会が十勝岳について臨時の評価を公表しました。

委員会は、山体付近の深部でマグマの蓄積が生じている可能性を指摘したうえで、2026年に入ってから続く熱活動や小規模噴火、規模の大きな火山性地震などを踏まえ、「より本格的な噴火が起きる可能性は従来より高まっている」との見方を示しています。

ただし、現時点で「マグマ噴火が目前に迫っている」と判断されたわけではありません。今後、山麓でも体に感じるような規模の大きな火山性地震が明瞭に増えた場合には、マグマ噴火の可能性をより強く考える必要がある、という条件付きの評価です。

9月17日時点でも、十勝岳の噴火警戒レベルは3「入山規制」が継続しています。

2026年9月12日の朝、十勝岳を追っていた人にはかなり大きな動きが入ってきた。

札幌管区気象台が午前9時30分、十勝岳の噴火警戒レベルを「2(火口周辺規制)」から「3(入山規制)」へ引き上げた。警戒が必要とされた範囲も、62-2火口から概ね3kmまで広がっている。

十勝岳は2026年に入ってから、地殻変動や火山ガス、火口周辺の熱活動、火山性地震、そして7月・8月のごく小規模な噴火まで、気になる変化が一つずつ積み重なっていた。

私も発表を追いながら、「これは最新の数字だけ流し読みすると、肝心な流れを見落としそうだな」と感じていた火山のひとつだった。

今回のレベル3も、単に数字が「2から3になった」というだけでは分かりにくい。

どこまで近づけないのか。富良野や美瑛への観光まで危険なのか。周辺住民は避難しなければならないのか。そして、なぜ今このタイミングだったのか。

さらに9月16日には、「マグマ噴火が発生する可能性」という、かなり強く見える言葉もニュースに出てきた。

でも、そこだけ切り取ると今度は必要以上に怖く見えてしまう。

十勝岳で何が起きているのかを理解するには、9月12日の発表だけではなく、その前の数か月と、その後の専門家評価までつないで見るのが一番分かりやすい。

十勝岳の噴火警戒レベルが3「入山規制」に引き上げ

9月12日9時30分、レベル2から3へ引き上げ

札幌管区気象台は2026年9月12日午前9時30分、十勝岳に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2から3へ引き上げた。

レベル3のキーワードは「入山規制」。

気象庁が今回示した警戒範囲は、62-2火口から概ね3km。この範囲では、噴火に伴って弾道を描いて飛散する大きな噴石への警戒が求められている。

火山のニュースで「3km」と聞くと、地図に円を一本引いて「ここから外なら安全」と考えたくなる。

ただ、火山はそんなにきれいには分かれてくれない。

大きな噴石については概ね3kmが重要な警戒範囲になる一方、火山灰や小さな噴石は風に流され、それより遠い場所まで影響する可能性がある。

対象は富良野市・美瑛町・上富良野町など5市町

今回、気象庁が入山規制などの警戒を求めた自治体は次の5市町になる。

  • 富良野市
  • 美瑛町
  • 上富良野町
  • 南富良野町
  • 新得町

ここで最初に切り分けておきたいのが、この5市町の全域が危険区域になったわけではないということ。

火山周辺の行政区域は広いので、対象自治体に名前が入ったからといって、「富良野市内は全部危ない」「美瑛へ旅行できない」と読み替えると話がずれてしまう。

反対に、市街地が火口から離れているから山側の規制まで気にしなくていい、という話でもない。

自治体名と、実際に規制されている場所は分けて見る。

今回の十勝岳では、この考え方がかなり重要になる。

レベル3でも「周辺住民全員が避難」という意味ではない

「噴火警戒レベル3」と聞くと、かなり切迫した響きがある。

「もう周辺住民も全員避難する段階なのでは?」と思う人もいるかもしれない。

ただ、レベル3は基本的に、登山禁止や入山規制など危険な地域への立ち入りを制限する段階になる。

5市町の住民全員が一斉に避難するという意味ではない。

一方で、「住民には何も関係がない」と言い切れる段階でもない。

地域や火山活動の状況によっては、高齢者など要配慮者の避難準備を含む対応が必要になることがある。実際の避難情報については、気象庁の警戒レベルだけではなく各自治体の情報を見る必要がある。

レベル3になって何が変わった?警戒範囲と規制を整理

今回の発表で一番分かりやすい変化は、「警戒する山域が広がった」こと。

9月11日までは、62-2火口から概ね1.5kmの範囲に影響する噴火が想定され、噴火警戒レベル2「火口周辺規制」が続いていた。

それが翌12日朝、概ね3kmまで影響する噴火の可能性があるとしてレベル3へ引き上げられた。

大きな噴石への警戒範囲が概ね1.5kmから3kmへ

時点 噴火警戒レベル キーワード 大きな噴石への警戒範囲
9月11日まで レベル2 火口周辺規制 62-2火口から概ね1.5km
9月12日から レベル3 入山規制 62-2火口から概ね3km

数字にすると1.5kmから3km。

でも、防災上の意味は単純に「距離が2倍になった」だけではない。

レベル2では火口周辺への立ち入り規制が中心だったものが、レベル3では山へ入るルートそのものを確認する必要が出てくる。

「火口のそばへ行かなければいい」から、「そもそもその山域へ入っていいのかを見る」へ。

登山者にとっては、この違いがかなり大きい。

警戒対象は3町から5市町へ

6月18日にレベル2へ引き上げられた際、対象として挙げられていたのは美瑛町、上富良野町、新得町の3町だった。

今回のレベル3では、富良野市と南富良野町が加わり、5市町になっている。

警戒する山域が広がったことで、行政上の対象も広がったと考えると分かりやすい。

「3km」は安全と危険を分ける魔法の線ではない

今回かなり誤解されやすいのが、この「3km」という数字。

気象庁が概ね3kmで特に警戒を求めているのは、噴火に伴って弾道を描いて飛んでくる大きな噴石になる。

一方、すべての火山現象が3km以内に収まるわけではない。

気象庁は、風下では火山灰や小さな噴石が遠方まで流されて降る可能性にも注意を求めている。

  • 概ね3km以内:大きな噴石に特に警戒する範囲
  • 3kmより外:大きな噴石の警戒範囲外でも、降灰など別の影響があり得る

だから、「3kmより外なら何があっても安全」とは言えない。

逆に、「灰が遠くまで来る可能性があるなら美瑛や富良野は全部危険」という話にもならない。

必要な場所ではきっちり警戒する。でも、範囲を必要以上に広げて怖がらない。

火山情報を見るとき、この線引きはかなり大切になる。

なぜ十勝岳は噴火警戒レベル3まで引き上げられたのか

今回のレベル3だけを見ると、「9月12日に急に地震が増えたから、一気に警戒レベルを上げたのかな」と感じるかもしれない。

でも、2026年の十勝岳を春までさかのぼると、見え方がかなり変わってくる。

私が今回の発表でいちばん気になったのもここで、一つの異常が突然出たというより、種類の違う観測変化が何か月も積み上がっていたことになる。

3月から続いていた「山体の膨張」を示す地殻変動

気象庁は2026年3月以降、十勝岳の山体付近のやや深い場所で膨張を示す地殻変動が続いているとしている。

「山が膨らんでいる」と聞くと、見た目でも分かるような大きな変化を想像しそうだけれど、実際にはGNSSなどの観測機器で捉える小さな変化になる。

火山の地下で圧力の状態が変われば、山体そのものがわずかに伸びたり縮んだりすることがある。

もちろん、膨張が確認されたから即噴火という話ではない。

ただ今回の十勝岳では、この変化が一時的ではなく数か月にわたって続いていた。

4月以降は火山ガスの放出量も増えていた

続いて目立ってきたのが、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量。

火山ガスは、地下にあるマグマや熱水系の状態を探るうえでかなり面白い観測項目になる。

地震のように揺れとして現れなくても、地下から出てくるガスの量や成分を見ることで、火山内部の変化を別の角度から追える。

7月16日の観測では1日あたり2000トン前後、7月24日には2300トン、8月26日には1000トンが観測されている。

数字には変動があるので、「何トンを超えたら噴火」という読み方はできない。

面白いのは、地殻変動とは別の観測項目である火山ガスにも変化が現れていたこと。

地下の状態を地面の変形から見る観測と、地下から上がってくるガスを見る観測。その両方で変化が続いていた。

火口では噴煙・発光・高温化も続いていた

さらに62-2火口と振子沢噴気孔群の周辺では、

  • 噴煙・噴気の高さの増大
  • 発光現象の多発
  • 振子沢噴気孔群の高温化

などが確認され、熱活動が高まった状態が続いていた。

6月16日の現地観測では、62-2火口内で高温の火山ガスが活発に噴出し、噴気域が広がっていることも確認されている。

火山ウォッチャー目線では、このあたりがかなり気になる。

地震計だけが騒がしくなったのではなく、地殻変動、ガス、火口の熱という違う観測系統から活動の高まりが見えていた。

ただ、それでも「大噴火が近い」とまでは読めない。

火山は似た変化を見せながら、そのまま活動が弱まることもあるからだ。

7月22日には62-2火口で実際に噴火

そして7月22日午前11時7分ごろ、62-2火口でごく小規模な噴火が発生した。

黒色の噴煙が火口縁から約200mまで上がり、約45秒間の火山性微動も観測された。大きな噴石の飛散は確認されていない。

規模としては「ごく小規模」。ここだけを切り取って大きな噴火のように扱うのは違う。

ただ、2026年の流れを見るうえでは、観測値だけの変化から実際の噴火現象が確認される段階へ進んだことになる。

さらに8月5日の上空観測では振子沢噴気孔群からのごく小規模な噴火が確認され、翌6日にも62-2火口付近で噴火を確認。灰白色の噴煙は火口縁上300mまで上がった。

7月に一度だけ噴いて終わった、という流れではなかった。

8月17日以降、「振幅の大きな火山性地震」が出始める

そこへ8月17日以降、山体付近を震源とする振幅の大きな火山性地震が重なってくる。

日付 最大振幅2マイクロメートル以上の火山性地震
8月17日 1回
8月20日 2回
9月12日 2回
9月13日 1回

9月12日8時20分ごろの地震は、この一連の中でも特に大きく、硫黄沢観測点で最大振幅約24マイクロメートル。火山調査委員会の資料では、グラウンド火口付近を震源とするM1.8の地震として整理されている。

「数回しかないのに?」と思うかもしれない。

ここが火山性地震の数字だけでは読みづらいところ。

単純な回数だけではなく、どこで起きたのか、どんな振幅・規模だったのか、それまでと比べてどう変わったのかまで見る必要がある。

レベル3は「一発の異常」ではなく、積み重なった変化の先にある

時期 主な変化
3月以降 山体付近のやや深部で膨張を示す地殻変動
4月以降 二酸化硫黄放出量の増加、地震活動のやや活発化
6月 火口周辺の熱活動が高まり、噴火警戒レベル2へ
7月22日 62-2火口でごく小規模な噴火
8月5〜6日 振子沢噴気孔群、62-2火口付近で噴火を確認
8月17日以降 振幅の大きな火山性地震が複数回発生
9月12日 噴火警戒レベル3へ引き上げ
9月13日 62-2火口付近浅部の火山性地震が増加
9月16日 火山調査委員会が臨時評価を公表

地殻変動だけでもない。火山ガスだけでもない。夏の小さな噴火だけでもない。

熱活動が高い状態が続く中で、複数の観測変化が長期間続き、そこへ振幅の大きな火山性地震が重なった。

火山情報は最新の一行だけ追うより、その前の数か月をつないで見る方がずっと面白い。

今回の十勝岳はまさにそのタイプに見える。

9月16日、火山調査委員会が「本格的な噴火の可能性は従来より高まっている」と評価

そしてレベル3への引き上げから4日後の9月16日、政府の火山調査委員会が十勝岳について臨時会合を開いた。

そこで示されたのが、「より本格的な噴火が起きる可能性は従来より高まっている」という評価だった。

この一文だけなら、かなり怖く見える。

でも、ここから先は「何を根拠に」「どこまで言っているのか」を分けて読む必要がある。

山体深部では「マグマが蓄積している可能性」

十勝岳では、火山ガスの二酸化硫黄が1日あたり1000〜2000トン程度放出される状態が続き、GNSS観測でも山体付近の深さ数kmでの膨張を示唆する基線長の伸びが継続している。

火山調査委員会は、こうした観測結果などから、山体付近の深部ではマグマの蓄積が生じている可能性が考えられると評価した。

ここは「マグマが蓄積していることが確認された」と断定されたわけではない。

複数の観測結果から、その可能性が考えられるという段階になる。

ただ、これまで追ってきた地殻変動と火山ガスが、専門家側では地下のマグマ活動を考える材料として結び付けて評価されているのは興味深い。

7〜8月の小さな噴火も、地下からの熱供給とつながっている可能性

7月22日、8月5日、8月6日に確認されたごく小規模な噴火についても、専門家側から新しい見方が示された。

火山調査委員会は、2026年3月以降、マグマ由来の高温の火山ガスや熱水が火口付近の浅い場所へ供給される割合が増えている可能性を挙げている。

その中で熱活動がさらに高まり、7〜8月のごく小規模な噴火が発生したと考えられている。

ここまで見ると、春から続いていた現象が少しつながって見える。

地殻変動があり、火山ガスが増え、火口周辺の熱活動が高まり、その途中で実際に小さな噴火が起きた。

バラバラに見えていた観測変化を、地下からの熱や火山ガスの供給という一つの流れで捉えられる可能性が出てきた。

9月12日の地震はM1.8。過去のマグマ噴火前はさらに大きな地震が増えた

火山調査委員会が比較材料として挙げているのが、20世紀のマグマ噴火になる。

時期 規模の大きな火山性地震
1962年のマグマ噴火前 M3.6
1988〜1989年のマグマ噴火前 M2.7
2026年9月12日 M1.8

1962年と1988〜1989年の噴火では、噴火の1〜2か月ほど前から山麓でも体に感じるような規模の大きな火山性地震が明瞭に増えていたという。

この比較を見ると、「今回も同じ経過になるのでは?」と考えたくなる。

でも、そこまでは言えない。

現在確認されているM1.8だけで、過去のマグマ噴火直前と同じ状態になったとは言えない。

むしろ専門家が注目しているのは、ここから先、山麓でも体に感じるような規模の大きな火山性地震が明瞭に増えてくるかどうかになる。

「マグマ噴火の可能性」は条件付き。いま切迫しているという意味ではない

今回のニュースで一番強く見えるのが、「マグマ噴火が発生する可能性」という言葉だと思う。

ただ、火山調査委員会の評価には重要な条件が付いている。

今後、山麓で有感となるような規模の大きな火山性地震が明瞭に増加した場合には、62-2火口や振子沢噴気孔群を含む前十勝山頂部周辺からマグマ噴火が発生する可能性がある、という評価になる。

つまり、

  • 現在すでにマグマ噴火が始まっている
  • 数日以内にマグマ噴火すると予測された
  • 過去の大噴火と同じ経過に入ったと確認された

という意味ではない。

今後、規模の大きな火山性地震が明瞭に増えるという変化が出た場合に、マグマ噴火の可能性をより強く考える必要があるという話だ。

怖い言葉だけを切り取るより、「何が起きたら評価がさらに変わるのか」まで見る方が、今の十勝岳をずっと正確に理解できる。

9月13日には62-2火口付近の浅い地震も増加

レベル3への引き上げ後にも、地震活動は動いている。

9月13日夕方以降には、62-2火口付近の浅い場所を震源とする火山性地震が増加した。

ただし、9月14日15時時点では、噴煙・噴気の状況や傾斜変動に特段の変化は確認されていない。

地震活動には新しい変化が出ている。一方で、すべての観測項目が同時に急変しているわけではない。

この両方を見るのが、現在地を必要以上に怖がらず、かといって軽視もしないためには大切になる。

十勝岳には現在登れる?入山規制の範囲と登山への影響

登山を予定していた人が真っ先に知りたいのは、たぶんここだと思う。

「結局、十勝岳には登れるのか?」

9月17日時点でも噴火警戒レベル3は継続している。

少なくとも上富良野町側では、十勝岳温泉登山口と吹上登山口を使い、大雪山連峰方面へ向かう登山は全面禁止と案内されている。

十勝岳温泉登山口・吹上登山口からの登山は全面禁止

ここで大事なのは、「十勝岳山頂だけ立入禁止」という話ではないこと。

十勝岳温泉側からは十勝岳本峰だけでなく、上富良野岳、富良野岳、三段山方面へつながるルートがあり、吹上温泉側からも十勝岳へ向かう主要ルートが延びている。

つまり、「62-2火口へ行かなければ好きなルートを歩ける」という感覚では見られない。

登山口の段階で規制されている以上、自分の目的地だけ見て「火口から離れているから」と判断する話ではなくなる。

美瑛・富良野岳・新得側も「計画上の規制」と「当日の規制」を分けて見る

十勝岳は、一つの登山口から一本道で登る山ではない。

美瑛側、上富良野側、富良野岳側、新得側など複数の方向から登山道が延び、連峰を縦走する人も多い。

十勝岳火山避難計画では、レベル3で概ね3kmの規制を行う場合、白金温泉望岳台登山口、美瑛富士分岐、吹上温泉登山口、十勝岳温泉登山口、富良野岳側、新得町側などから十勝岳方向へ入る登山道の規制を想定している。

ただし、避難計画上の規制地点と、現在その地点で実施されている規制は別情報になる。

防災計画の「こう規制する予定」と、現場で「今どう規制されているか」を混ぜないことが大切だ。

「十勝岳に登らなければ大丈夫」とも限らない

縦走では特に、目的地の山名だけで判断しない方がいい。

十勝岳を目指していなくても、途中で十勝岳側の稜線へ入るコースだったり、規制対象となる分岐を通ったりすることがある。

どの山へ登るかではなく、どの登山口から入り、どの分岐を通って、どこへ下りるか。

レベル3の十勝岳では、ルート一本を通して見る方が安全だと思う。

規制線を越えて「様子を見る」はやめておきたい

火山を追っていると、活動が高まったときほど現地を見たくなる気持ちは分かる。

噴煙はどう変わったのか。火口方向はどう見えるのか。火山好きなら気にならない方が難しい。

でも、レベル3で規制されている場所については話が別。

規制区域に人が入れば、何か起きたときに確認や救助へ別の人が入らなければならなくなる。

火山を見たいなら、規制区域の外から公式の監視カメラや観測データを見る。

今はその方が、よほど火山ウォッチャーらしい追い方だと思う。

「公式ページに書いてある」だけでは足りない。日付まで見る

今回の十勝岳で地味だけれどかなり重要なのが、情報の鮮度。

9月11日にはレベル2だったものが、翌12日朝にはレベル3へ変わった。

しかも、その後13日には新しい地震活動、16日には専門家評価の更新まで入っている。

だから、公式サイトを見つけただけで安心せず、「公式サイトの、いつの情報なのか」まで確認する。

登山前なら特に、前日の情報でも古い可能性がある。

美瑛・富良野への旅行はできる?道路・温泉・交通への影響

噴火警戒レベル3のニュースを見て、「美瑛や富良野への旅行そのものを取りやめた方がいいの?」と心配になった人もいると思う。

9月17日時点の情報を見ると、ここは丁寧に切り分ける必要がある。

美瑛や富良野の観光エリア全体が立入禁止になったわけではない。

一方、十勝岳に近い温泉地や山岳道路では、休館・閉鎖・通行規制など具体的な影響が出ている。

「北海道旅行は全部ダメ」でもなければ、「登山しないから何も関係ない」でもない。

白金温泉地区は平常営業

美瑛町は現在、今回の規制について、白金地区や居住地区への規制ではないと明記している。

さらに、白金温泉地区は平常営業と案内している。

「美瑛側は全部行けないのでは?」と心配している人には、かなり重要な情報だと思う。

ただし、白金温泉地区が営業していることと、その先の十勝岳登山や山岳道路を自由に利用できることは別の話。

白金温泉は営業している。でも山側には規制がある。

この二つはセットで理解したい。

白金温泉から十勝岳温泉への通り抜けはできない

車移動で特に注意したいのが、十勝岳スカイライン周辺。

上富良野側の案内では、美瑛町の白金温泉から十勝岳温泉へ通り抜けることはできない。

白金温泉と十勝岳温泉は地図上では近く見えるので、「青い池や白金温泉を見たあと、そのまま山を越えて十勝岳温泉へ」と考えたくなる。

でも現在は、その抜け方ができない。

ナビの距離表示より、現地の規制情報を優先したいところ。

白銀荘は休館、吹上露天の湯も閉鎖

施設 9月17日時点で確認できる状況
吹上温泉保養センター 白銀荘 臨時休館・再開時期未定
吹上露天の湯 閉鎖・再開時期未定

白銀荘は十勝岳登山の拠点として有名だけれど、登山者だけが利用する施設ではない。

サウナや温泉目的で訪れる人も多い。

吹上露天の湯も「北の国から」のロケ地として知られる人気スポット。

なので、「登山しない旅行だから行けるだろう」ではなく、施設そのものが現在利用できるのかを見る必要がある。

凌雲閣・カミホロ荘は通常営業

一方、十勝岳周辺の温泉がすべて一斉に休業しているわけではない。

9月16日に修正された十勝岳観光協会の案内では、

  • 十勝岳温泉 湯元 凌雲閣:通常営業
  • 十勝岳温泉 カミホロ荘:通常営業

となっている。

両施設では、高齢者などの要配慮者について避難に備えた準備を行っていると案内されている。

ここは9月12日時点から情報が更新された部分。

白銀荘は休館なのに、凌雲閣とカミホロ荘は営業。

同じ十勝岳周辺でも、施設ごとに対応が違う。

しかも数日の間に案内内容そのものが変わることもあるので、「営業中」という一言だけでなく最新のお知らせまで見た方がいい。

町営バスは運行継続、ただし一部停留所には停まらない

上富良野町営バスについては通常ダイヤで運行している一方、

  • 吹上露天の湯
  • 白銀荘

の停留所には停車しない。

通常時の路線案内にはこの2か所もしっかり載っているので、ここはなかなか罠っぽい。

「バスが通常運行している=いつもの停留所すべてへ行ける」とは限らない。

観光への影響は「行ける・行けない」の二択ではない

旅行先・移動 現在の状況
富良野・美瑛の一般観光 自治体全域が立入禁止になったわけではない
白金温泉地区 平常営業
白金温泉→十勝岳温泉 通り抜け不可
白銀荘 臨時休館
吹上露天の湯 閉鎖
凌雲閣・カミホロ荘 通常営業。要配慮者について避難に備えた準備
上富良野町営バス 通常ダイヤ。ただし一部停留所を通過

同じ山のふもとでも、ある道路は閉鎖、ある宿は営業、別の温泉は休館、バスは走るけれど一部には停まらない。

火山周辺の観光は、こういう細かい違いが普通に出てくる。

旅行するなら、

  1. 目的地そのものが営業しているか
  2. そこへ向かう道路が通れるか
  3. 公共交通が通常通り停車するか
  4. 自治体から新しい規制が出ていないか

を目的地ごとに見る方が現実的。

十勝岳がレベル3だから富良野・美瑛観光が全部ダメ、という話ではない。でも山に近い場所ほど「いつもの旅行情報」だけでは判断しない方がいい。

今後は何に注意すべき?住民・旅行者・登山者の確認ポイント

火山情報で本当に難しいのは、今日の状態が明日もそのままとは限らないところ。

警戒レベル、道路、登山道、施設営業。それぞれ更新する主体もタイミングも違う。

だから今後は、「レベル3だからこう」と一枚の情報だけで判断せず、自分の立場に必要な情報を組み合わせて見るのが分かりやすい。

住民は「山の状態」と「自分の地域の対応」を分けて見る

周辺に住んでいる人がまず優先したいのは、気象庁に加えて自治体の防災情報。

気象庁は火山活動そのものを観測し、噴火警戒レベルや警戒範囲を発表する。

一方、実際にどの道路を規制するか、どの地域に避難対応を求めるかといった具体的な行動は自治体側の情報が重要になる。

  • 気象庁:山の状態がどう変わっているか
  • 自治体:その変化を受け、自分の地域で何をするのか

この二つをセットで見ると、情報が更新されたときも迷いにくい。

旅行者は「目的地」と「そこまでの経路」を別々に確認

今回だけでも、施設は営業しているのに途中の道路が使えない、バスは運行しているのに特定の停留所には止まらない、というケースがある。

「目的地が開いているか」と「そこまで行けるか」は別問題。

美瑛・富良野のように観光範囲が広い地域ほど、「地域名」だけで旅程全体を判断しない方がいい。

登山者は前日の情報でも古い可能性がある

9月11日にはレベル2だったものが、翌12日にはレベル3へ引き上げられた。

つまり、前日に確認した情報ですら、そのまま使えないことがある。

登山アプリのルート表示や昔の登山記録より、その日の気象庁、自治体、現地規制を優先したい。

今後いちばん注目したいのは「規模の大きな火山性地震が明瞭に増えるか」

9月16日の火山調査委員会の評価を踏まえると、これから十勝岳を見るときの注目ポイントがかなり具体的になった。

それが、山麓でも体に感じるような規模の大きな火山性地震が、今後明瞭に増えてくるかどうかだ。

現在すでに火山性地震は増えている。

ただ、「地震が増えた=マグマ噴火が近い」と一気に結論づけるのは早い。

ニュースを見るなら、

  • 地震の規模はどれくらいか
  • 震源はどこか
  • 単発なのか、明瞭に増えているのか
  • 地殻変動や火山ガス、噴煙など他の観測項目にも変化が出ているか

まで見ると、現在地がかなり分かりやすくなる。

地震の数ではなく、「どんな地震が、どんな変化と一緒に出ているか」を見る。

今後の十勝岳では、この視点がかなり重要になりそうだ。

降灰は「火口から何km」だけでは読めない

大きな噴石については概ね3kmが警戒範囲になっているけれど、火山灰や小さな噴石は風下でさらに遠くまで運ばれる可能性がある。

実際に噴火して噴煙が上がれば、降灰する方向はそのときの風で変わる。

大きな噴石ほど派手ではないけれど、火山灰は道路、車、目や喉、機械類など日常生活へじわじわ影響する現象でもある。

降灰予報などが出た場合は、火口からの距離だけでなく風向きにも注目したい。

「噴火するのはいつ?」には、今のところ答えはない

ここまで活動が高まると、どうしても「次の噴火はいつなのか」が気になる。

私も観測データが増えるほど、この先どう動くのかはかなり気になる。

ただ、現在分かっているのは、活動が高まっており、一定の範囲に影響する噴火への警戒が必要だというところまで。

警戒レベルが上がったことと、噴火日時を予測できたことは別の話。

火山情報は未来をピンポイントで当てる予言ではない。

今観測されている変化から、どこに危険が及ぶ可能性があるのかを評価し、人が巻き込まれないよう規制や避難行動につなげるための情報として見る方が分かりやすい。

SNSは面白い。でも防災判断では公式情報を先に見る

SNSで火山名を検索すると、現地写真や噴煙の映像、登山者の投稿などがかなり速く流れてくる。

火山ウォッチャーとして、このリアルタイム感はものすごく面白い。

ただ、防災判断となると話は別。

写真一枚では噴煙なのか雲なのか分かりにくい場合もあるし、「噴火したらしい」という投稿が公式確認より先に広がることもある。

行動を決めるなら、

  1. 気象庁で噴火警戒レベルと火山活動を確認
  2. 地元自治体で立入・道路・避難などの規制を確認
  3. 道路管理者・交通機関で移動可能か確認
  4. 施設公式情報で営業状況を確認

SNSやライブカメラは、そのあとに現地の雰囲気を見る補助情報として使う。

この順番なら、情報が一気に増えたときでも振り回されにくい。

十勝岳の噴火警戒レベル3に関するよくある質問

以下は2026年9月17日時点の情報をもとに整理している。

十勝岳は現在すでに噴火していますか?

2026年には、7月22日、8月5日、8月6日にごく小規模な噴火が確認されている。

ただし、現在の噴火警戒レベル3を「今まさに大規模な噴火が続いている」という意味で受け取るのは違う。

「2026年に小規模な噴火が起きていること」と「現在、大規模噴火が発生していること」は分けて考えたい。

「マグマ噴火が発生する可能性がある」とはどういう意味ですか?

9月16日、政府の火山調査委員会は、より本格的な噴火が起きる可能性は従来より高まっているとの見方を示した。

その中では、山体付近の深部でマグマの蓄積が生じている可能性も指摘されている。

ただし、「マグマ噴火が目前に迫っている」と発表されたわけではない。

今後、山麓でも体に感じるような規模の大きな火山性地震が明瞭に増加した場合には、マグマ噴火が発生する可能性をより強く考える必要がある、という条件付きの評価になる。

噴火警戒レベル3では住民も避難する必要がありますか?

レベル3になったからといって、周辺住民全員が一斉に避難する段階ではない。

主に危険な山域への立ち入りを規制する段階になる。

一方、地域や状況によって要配慮者の避難準備などが必要になる場合もあるので、自治体の防災・避難情報も確認してほしい。

十勝岳には現在登れますか?

噴火警戒レベル3「入山規制」が継続している。

少なくとも上富良野町側では、十勝岳温泉登山口・吹上登山口から大雪山連峰方面へ向かう登山は禁止されている。

登る山の名前だけでなく、登山口から下山地点までルート全体を見る必要がある。

美瑛や富良野への旅行はできますか?

美瑛町や富良野市の全域が立入禁止になったわけではない。

美瑛町は白金地区や居住地区への規制ではなく、白金温泉地区は平常営業と案内している。

一方、山に近いエリアでは道路規制、施設休館、公共交通の変更が出ている。

「美瑛・富良野へ行けるか」ではなく、「自分が行く場所と、そこまでの経路はどうなっているか」を確認するのが分かりやすい。

火口から3km以上離れていれば安全ですか?

「3km以上離れれば絶対に安全」とは言えない。

概ね3kmは主に大きな噴石への警戒範囲で、風下では火山灰や小さな噴石がそれより遠方まで流される可能性がある。

一方で、3kmより外すべてが危険という意味でもない。

3kmはすべての火山現象を分ける安全ラインではない。

まとめ|十勝岳はレベル3継続、9月16日に専門家評価も更新

2026年9月12日、十勝岳の噴火警戒レベルは2から3「入山規制」へ引き上げられた。

そして、その後も十勝岳の情報は止まっていない。

9月13日には62-2火口付近の浅い場所を震源とする火山性地震が増加し、9月16日には政府の火山調査委員会が臨時の評価を公表した。

9月17日時点でも、噴火警戒レベル3「入山規制」は継続中。

今回の記事をここまで追ってきた人なら分かると思うけれど、十勝岳は「9月12日に突然活動が高まった火山」ではない。

春から山体の膨張を示す地殻変動が続き、火山ガスの放出量が増え、火口周辺の熱活動が高まり、7月と8月にはごく小規模な噴火も起きた。その延長線上で、振幅の大きな火山性地震が増え、レベル3への引き上げにつながった。

そして9月16日の火山調査委員会は、その一連の変化をさらに踏み込んで評価した。

山体付近の深部ではマグマの蓄積が生じている可能性が考えられ、現在の活動について、より本格的な噴火が起きる可能性は従来より高まっているとの見方が示された。

ただし、現時点で「マグマ噴火が目前に迫っている」と判断されたわけではない。

今後特に注目されるのは、山麓でも体に感じるような規模の大きな火山性地震が明瞭に増えてくるかどうか。

つまり、これからの十勝岳を見るなら「噴火した・していない」だけでは少し足りない。

地震の規模や震源、地殻変動、火山ガス、噴煙や熱活動がどう動いているのか。複数の観測データをつないで見ることが、これまで以上に重要になってきた。

一方で、観光について必要以上に範囲を広げて怖がる必要もない。

美瑛町は白金温泉地区を平常営業としている一方、十勝岳に近い山域では入山規制が続き、道路や温泉施設、交通についても場所ごとの対応がある。

「美瑛や富良野は大丈夫か」ではなく、「自分が行く場所はどこで、そこまでどう移動するのか」まで確認する。

この判断軸は9月12日時点から変わっていない。

  • 火山活動・噴火警戒レベル:気象庁
  • 専門家による活動評価:火山調査研究推進本部・火山調査委員会
  • 入山・避難・地域規制:各自治体
  • 道路・公共交通:道路管理者・交通機関
  • 温泉・宿泊・観光施設:各施設の公式情報

火山を追っていると、どうしても「次は噴火するのか」という一点に目が行く。

でも今回の十勝岳を見ていると、むしろ興味深いのは、そこへ至る途中の変化だと思う。

地殻変動があり、ガスが変わり、熱活動が強まり、小さな噴火が起き、地震活動にも変化が出てきた。

それぞれ単独では決め手にならないものが、時間をかけて積み重なっている。

必要以上に怖がらない。でも、規制されている場所には入らない。そして新しい観測データが出たら、9月12日の情報で止めずに更新して見る。

いまの十勝岳と向き合うなら、この距離感が一番しっくりくる。

十勝岳の最新情報・参考リンク

十勝岳の火山活動や入山規制、道路・温泉施設などの状況は今後も変わる可能性がある。

この記事は2026年9月17日時点までに確認できた情報を反映しているが、登山や旅行、周辺地域での行動を判断するときは、気象庁・火山調査委員会・自治体などの最新情報を必ず確認してほしい。

火山調査委員会|9月16日の十勝岳の現状評価

気象庁|十勝岳の噴火警報・最新の火山活動

美瑛町|白金温泉・十勝岳周辺の情報

  • 美瑛町|十勝岳について
    今回の規制が白金地区・居住地区への規制ではないことや、白金温泉地区が平常営業していることを確認できる。

上富良野町・十勝岳観光協会|登山・道路・温泉・交通情報

十勝岳の火山防災・過去の噴火を詳しく知りたい人向け

今回の十勝岳では、9月11日にはレベル2、12日にはレベル3、その後も地震活動や専門家評価、施設側の対応が更新されている。

検索結果には以前の公式情報も残るため、「公式サイトかどうか」だけではなく、「いつ発表・更新された情報なのか」まで確認することが重要になる。

登山や十勝岳周辺への旅行を予定している場合は、この記事だけで最終判断せず、出発直前に気象庁・自治体・交通機関・利用予定施設の最新情報をもう一度確認してほしい。

スポンサーリンク