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サイバー攻撃で日本のインフラは止まる?海外の被害事例と日本政府の対策を解説

サイバー攻撃と日本のインフラ危機 IT
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サイバー攻撃によって、ある日突然、電気や水道、通信などのライフラインが使えなくなる。そんなことが日本でも起こり得るのでしょうか。

2026年10月、GMOインターネットの「お名前.com デスクトップクラウド」がサイバー攻撃を受け、顧客情報の持ち出しや、利用者の金融取引に関わる問題が明らかになりました。攻撃者とみられる人物からは約80億円の金銭要求もあり、企業が受けたサイバー攻撃の影響がサービス利用者にまで及んでいます。

今回のGMO事件は、電力や水道の供給が止まった事例ではありません。しかし、コンピューターへの攻撃が情報流出だけでなく、サービスの停止や利用者の財産に関わる被害につながる可能性を示しています。

海外に目を向けると、2015年のウクライナではサイバー攻撃によって実際に停電が発生し、2021年の米国ではランサムウェア攻撃を受けた大規模な燃料パイプラインが操業を停止しました。

日本でも、2023年の名古屋港ではコンテナ物流が約3日間停止し、2022年の大阪急性期・総合医療センターでは電子カルテの障害により診療が長期間制限されています。

サイバー攻撃によって重要インフラが停止することは、すでに現実に起きています。ただし、攻撃を受ければ必ず停電や断水になるわけではなく、日本全国のライフラインが一斉に停止するという意味でもありません。

この記事では、国内外の被害事例をもとに、インフラが止まる仕組みや身代金目的の攻撃の実態を解説します。さらに、2026年に強化された日本政府のサイバーセキュリティ対策と、私たちの暮らしへの影響についても詳しく見ていきます。

サイバー攻撃で日本のインフラは止まる?停電・断水の可能性を解説

サイバー攻撃と都市インフラの危機

日本でも、サイバー攻撃が原因で電気や水道などの重要インフラが停止する可能性はあります。

ただし、電力会社が不正アクセスを受けたというだけで、発電所や送電設備まで停止するとは限りません。水道事業者でも、料金請求を管理するシステムが攻撃された場合と、浄水場や配水設備の運転を管理するシステムが攻撃された場合では、想定される影響が異なります。

どのシステムが被害を受けたのか、別の設備とどのようにつながっているのか、事業者がどのような安全対策を用意しているのか。こうした条件によって、単なる事務作業の停止で済む場合もあれば、実際のサービス提供に影響する場合もあります。

サイバー攻撃でインフラが停止することは実際にある

海外には、サイバー攻撃が電力や燃料の供給に影響した事例があります。

2015年12月のウクライナでは、電力会社の制御システムが攻撃され、約22万5,000件の顧客が1〜6時間にわたって停電しました。

一方、2021年5月の米国コロニアル・パイプライン事件では、企業のITシステムにランサムウェア攻撃が発生したことを受け、事業者が安全確保のために燃料輸送を停止しています。

この2つの事件は、サービスが止まった原因を考えるうえで対照的です。

ウクライナでは攻撃者による設備の不正操作が停電につながりましたが、米国のパイプラインでは、事業者自身が被害拡大を防ぐために操業停止を判断しました。

設備が直接破壊されなくても、企業が安全に運転を続けられないと判断すれば、社会に必要なサービスが停止することがあります。

電力・水道・通信など重要インフラ16分野とは

そもそも、サイバーセキュリティの分野でいう「重要インフラ」は、電気・水道・ガスだけを指しているわけではありません。

日本政府は、機能が停止したり低下したりすると、国民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすおそれがある基盤を重要インフラと位置づけています。

2026年10月時点では、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット、石油、港湾、郵便の16分野が対象となっています。

重要インフラ分野 サービスの例
情報通信 電話、インターネット、放送
金融 銀行、送金、金融取引
航空 航空輸送、運航管理
空港 空港運営、旅客サービス
鉄道 列車の運行、運行管理
電力 発電、送配電、電力供給
ガス 都市ガスなどの供給
行政サービス 行政手続、行政情報システム
医療 診療、電子カルテ、医療情報
水道 浄水、配水、水の供給
物流 貨物輸送、倉庫、配送管理
化学 化学製品の生産など
クレジット クレジットカード決済
石油 石油の精製、輸送、供給
港湾 コンテナターミナルの運営など
郵便 郵便サービス

例えば、鉄道の運行管理システムが止まれば列車の運行に影響する可能性があり、銀行の取引システムが停止すれば送金や口座取引が制限される場合があります。

私たちが普段利用しているサービスの多くは、情報システムが正常に動くことを前提としているのです。

国家サイバー統括室は、重要インフラを国民生活や経済活動の基盤と位置づけ、2026年10月に施行された重要インフラ統一基準に基づき16分野を特定しています。

ただし、これらの分野に属するすべての企業やシステムが、一律に同じ管理対象となるわけではありません。対象となる事業者やサービスの範囲は、政府の関連制度に基づいて整理されています。

※国家サイバー統括室の重要インフラの定義と分野一覧を記事用に要約
出典:国家サイバー統括室「重要インフラ対策関連」

攻撃を受けても必ずサービスが止まるわけではない

重要インフラのサービス停止を理解するには、業務で使う情報システムと、設備の運転を支える制御システムの違いを知っておくと分かりやすくなります。

前者は一般にIT、後者はOTと呼ばれます。

種類 主な役割 障害による影響例
IT(情報技術) 顧客情報、契約、会計、料金、業務データなどの管理 請求・受付・事務処理などの停止
OT(制御・運用技術) 機械や設備の状態を監視し、運転を制御する 設備の運用制限、安全管理や供給への影響

例えば、水道事業者の料金請求システムが止まっても、水そのものが直ちに出なくなるわけではありません。

しかし、浄水や配水を管理するシステムに障害が起きた場合には、水を安全に送るための監視や操作が難しくなる可能性があります。

しかもITとOTは完全に独立しているとは限りません。遠隔監視や業務の効率化のため、両者がネットワークで接続されている施設もあります。

その場合、最初に侵入されたシステムが直接設備を制御していなくても、設定や接続状況によっては別のシステムへ影響が広がるおそれがあります。

設備への攻撃と安全確保のための自主停止はどう違う?

インフラのサービス停止には、大きく分けて3つの経路があります。

停止につながる経路 何が起きるか 影響例
制御システムへの攻撃 設備の監視・操作・制御に障害が起きる 電力や水道などの供給への影響
安全確保のための自主停止 事業者が被害拡大を防ぐために運転を止める 燃料輸送などの一時停止
業務管理システムの停止 サービス提供に必要な情報や処理機能が使えなくなる 物流、診療、決済などの停止

物流施設では、荷物の所在や搬出入を管理するシステムが止まると、クレーンなどの設備が壊れていなくても作業を続けられないことがあります。

病院も同様です。医療機器が正常に動いていても、患者情報や検査結果、処方内容を確認できなければ、通常の診療を維持するのは難しくなります。

こうした被害を防ぐため、事業者はシステムの分離、アクセス制限、異常検知、代替手段の確保などに取り組んでいます。ただし、必要な対策は施設によって異なり、どのような攻撃にも対応できる万能な方法があるわけではありません。

サイバー攻撃を受けることと、ライフラインの供給が止まることは別です。

実際の影響は、攻撃されたシステムの役割や事業者の対策によって変わります。特定の施設で障害が起きる可能性があることと、日本全国で一斉に停電や断水が起きることを同じように考える必要はありません。

日本でもサイバー攻撃でインフラが停止した事例はある?

日本国内でも、サイバー攻撃によって社会に必要なサービスが停止した事件があります。

代表的なのが2023年の名古屋港と、2022年の大阪急性期・総合医療センターです。

どちらも電力や水道の供給停止ではありませんが、情報システムへの攻撃が港湾物流や医療の提供にまで影響しました。

名古屋港|ランサムウェアでコンテナ物流が約3日間停止

2023年7月4日午前6時30分ごろ、名古屋港のコンテナターミナルで使われていた「名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)」に障害が発生しました。

NUTSは、港に出入りするコンテナの情報などを管理するシステムです。貨物を積んだトレーラーの搬入・搬出作業にも使われています。

そのシステムが停止したため、名古屋港のコンテナターミナルでは搬入・搬出作業を続けられなくなりました。

原因はランサムウェアへの感染でした。

名古屋港運協会などの経緯報告によると、障害発生当日の午前7時30分ごろには、システム専用のプリンターから脅迫文書が印刷されました。調査では、物理サーバー基盤や仮想サーバーが暗号化されていることも判明しています。

復旧作業はすぐに始まりましたが、問題は簡単には解決しませんでした。

7月5日夜には、復旧に使う予定だったバックアップデータからもウイルスが検出され、駆除作業が必要になったのです。

翌6日午前7時15分ごろにバックアップの復元が完了したものの、その後はネットワーク障害が発生しました。さらに、復元されたデータと実際のコンテナ在庫の情報に食い違いがないか、確認する作業も必要でした。

各ターミナルが作業を再開したのは7月6日午後。すべてのターミナルで作業が再開されたのは、同日午後6時15分でした。

名古屋港運協会などの2023年7月26日付の報告書では、ランサムウェアによるサーバーの暗号化が確認されたこと、復旧に使用するバックアップからもウイルスが検出されたこと、ネットワーク障害やデータ整合性の確認によって復旧作業が続いたことが説明されています。

侵入経路については、リモート接続機器の脆弱性が悪用された可能性が指摘されましたが、感染経路を最終的に断定できたわけではありません。

※名古屋港運協会など「NUTSシステム障害の経緯報告」を記事用に要約
出典:名古屋港運協会など「NUTSシステム障害の経緯報告」

この事件では、単にサーバーを元どおりにするだけでは物流を再開できませんでした。

復旧したデータが正しいかどうかを確認し、実際の貨物と一致していることを確かめなければ、安全にコンテナを動かせなかったからです。

コンテナの管理情報は画面上の数字にすぎないように見えますが、それが使えなくなるだけで、現実の物流が止まってしまいました。

名古屋港|約2万本のコンテナと37隻の船舶に影響

国土交通省の検討委員会が公表した中間取りまとめによると、このシステム障害によって搬入・搬出に影響したコンテナは推計約2万本に上ります。

また、37隻の船舶の荷役スケジュールに影響が発生し、最大で24時間程度の遅れが生じました。

項目 確認された影響
障害発生 2023年7月4日午前6時30分ごろ
全ターミナルでの作業再開 7月6日午後6時15分
搬入・搬出に影響したコンテナ 推計約2万本
荷役に影響した船舶 37隻
荷役の遅れ 最大約24時間

影響は港湾の中だけにとどまりませんでした。

国土交通省の資料では、トヨタ自動車の愛知県と岐阜県にある4拠点の稼働停止や、アパレルメーカーの衣料品の入荷遅延などが、経済活動への影響として報道されていたことも紹介されています。

港で貨物を取り扱えなくなれば、工場が必要な部品を受け取れず、生産を続けられなくなる場合があります。輸入した商品が店舗に届かなければ、販売の予定にも影響します。

コンテナを管理するシステムへの攻撃が、港から離れた企業の活動にも影響する。名古屋港の事件では、そのつながりが具体的な数字とともに明らかになりました。

国土交通省の「コンテナターミナルにおける情報セキュリティ対策等検討委員会 中間取りまとめ①」では、名古屋港のシステム障害によってコンテナの搬入・搬出が約3日間停止したと整理しています。

影響したコンテナは推計約2万本、船舶は37隻で、荷役スケジュールに最大24時間程度の遅れが生じました。関連する製造業や小売業への影響についても、報道された事例が紹介されています。

※国土交通省の検討委員会資料を記事用に要約。コンテナ本数は推計値、関連企業への影響には報道に基づく情報が含まれます。
出典:国土交通省「中間取りまとめ①」

大阪の病院|電子カルテ停止で診療に深刻な影響

医療の現場でも、サイバー攻撃によって大きな被害が発生しています。

2022年10月31日、大阪急性期・総合医療センターがランサムウェア攻撃を受け、電子カルテを含む総合情報システムが利用できなくなりました。

電子カルテには患者の病歴や検査結果、処方内容など、診療に必要な情報が保存されています。その情報に通常どおりアクセスできなければ、医師や看護師は安全に診療を進めることが難しくなります。

同センターでは、救急患者の受け入れ、外来診療、予定していた手術などが大きく制限されました。

調査報告書によると、基幹システムのサーバーの大部分が暗号化され、院内の約2,200台のパソコン端末にも不正アクセスの痕跡が確認されました。サーバーや端末を初期化し、システムを再構築する作業が必要になったのです。

電子カルテサーバーが再稼働したのは2022年12月12日。診療システム全体が復旧したのは翌2023年1月11日でした。

電子カルテサーバーの再稼働まで43日間、診療システム全体の復旧には73日間を要しています。

診療の制限は、患者数にも表れました。

2022年11月の新入院患者数は558人で、前年同月の33.3%。初診患者数は465人で、前年同月の17.9%となっています。

項目 確認された内容
障害発生 2022年10月31日
電子カルテサーバー再稼働 2022年12月12日
診療システム全体の復旧 2023年1月11日(73日間)
2022年11月の新入院患者 558人(前年同月比33.3%)
2022年11月の初診患者 465人(前年同月比17.9%)

なお、33.3%と17.9%は、前年同月を100%とした割合です。前年より33.3%、17.9%減ったという意味ではありません。

調査委員会が2023年3月に示した報告書の概要では、調査・復旧費用が数億円以上、診療制限による逸失利益が十数億円以上になるとの見込みも示されました。ただし、これは当時の推計であり、最終的な損害額として確定したものではありません。

大阪急性期・総合医療センターの調査委員会は、電子カルテを含む総合情報システムの大部分がランサムウェアで暗号化され、通常診療が長期間にわたって制限されたと報告しています。

電子カルテサーバーは2022年12月12日に再稼働しましたが、部門システムを含む診療機能全体の復旧は2023年1月11日となりました。

報告書では、システムの復旧費用に加えて、診療を制限したことによる逸失利益も問題になったと説明されています。

※大阪急性期・総合医療センター調査委員会の2023年3月公表資料を記事用に要約
出典:大阪急性期・総合医療センター「情報セキュリティインシデント調査報告書 概要」

名古屋港は約3日間の物流停止でしたが、大阪の病院では診療システム全体を復旧するまで2か月以上かかりました。

攻撃された設備やシステムが異なれば、復旧に必要な時間も大きく変わります。医療では、その間も患者の安全を守らなければならないという難しさがあります。

国内事例に共通する外部接続・委託先のリスク

名古屋港と大阪の病院では、システムへの外部接続が侵入経路の調査で問題になりました。

名古屋港では、リモート接続機器の脆弱性を悪用した侵入が疑われました。ただし、暗号化によってログの解析が難しくなったことなどから、感染経路を最終的に断定することはできませんでした。

一方、大阪の病院では、給食業務を委託していた事業者のシステムを経由した侵入が、調査委員会によって推定されています。

病院の給食システムには、患者へ適切な食事を提供するための情報が必要です。そのため、病院と委託先のシステムは接続されていました。

調査では、攻撃者が委託先側のシステムから病院側のサーバーへ侵入し、さらに別のサーバーへ攻撃範囲を広げたと推定されています。認証情報の管理や、システム間で共通のID・パスワードが使用されていたことも課題として指摘されました。

病院の電子カルテが最初から直接攻撃されたとは限らず、別の業務を支えるシステムとの接続が、被害の拡大に関わった可能性があるのです。

重要インフラを守るには、委託先や保守会社との接続も含めた対策が必要です。

外部接続機器の更新、認証情報の適切な管理、接続先の権限制限などが対策として考えられます。ただし、名古屋港の侵入経路は最終的に確定しておらず、両事件の原因が完全に同じだったわけではありません。

国内の事例から、サイバー攻撃が港の物流や病院の診療を現実に止めることは確認できます。

では海外で起きた電力や燃料、水道への攻撃では、設備そのものにどのような影響があったのでしょうか。

海外のインフラはサイバー攻撃でどうなった?停電・燃料・水道の被害事例

海外では、電力供給や燃料輸送、水道設備の運用に直接影響するサイバー攻撃が発生しています。

ただし、実際に起きた被害を調べると、攻撃者が設備を不正操作した事件もあれば、事業者が安全確保のために操業を止めた事件もあります。

この違いは、日本で同じような被害が起こり得るのかを考えるうえでも重要です。

ウクライナ|約22万5,000件の顧客が停電した2015年の攻撃

2015年12月23日、ウクライナで3つの地域配電会社がサイバー攻撃を受け、約22万5,000件の顧客に停電が発生しました。

米国エネルギー省の調査資料によると、停電は1〜6時間に及びました。

この事件では、電力会社のコンピューターが停止しただけではありません。攻撃者は電力設備を監視・操作する制御システムへ侵入し、変電所の遮断器を遠隔から不正操作して電気の供給を止めました。

遮断器は電気の流れを接続・遮断するための装置です。通常は設備の保護や電力系統の運用に使われますが、攻撃者が操作できる状態になれば、停電を発生させる手段にもなります。

さらに、攻撃者は電力会社の担当者が遠隔操作で復旧できないように妨害していました。

調査資料では、コンピューター内のデータを破壊する不正プログラムが使用されたことや、顧客からの問い合わせを受ける電話窓口に対して妨害が行われたことも報告されています。

つまり、攻撃者は停電を発生させるだけでなく、その後の復旧作業や顧客対応にも支障を生じさせようとしていました。

停電が比較的短時間で解消されたのは、現場の担当者が変電所で遮断器を手動操作し、電力供給を回復させたことが大きな理由でした。

ただし、電気が再び届くようになったことと、攻撃されたコンピューターや制御システムがすべて正常に戻ったことは同じではありません。一部のシステムには、攻撃後も運用上の制約が残ったとされています。

米国エネルギー省の電力網セキュリティに関する報告書では、2015年12月23日のウクライナへの攻撃によって、3つの地域配電会社の約22万5,000件の顧客が1〜6時間停電したと整理されています。

攻撃者は変電所の遮断器を遠隔操作したほか、データ破壊や復旧妨害を組み合わせていました。電力供給は現場担当者の手動操作によって回復しています。

※米国エネルギー省の電力網セキュリティ・強靱性に関する報告書を記事用に要約
出典:米国エネルギー省「Electric Grid Security and Resilience」

攻撃者は事前に電力会社のネットワークへ侵入し、認証情報を盗みながらシステムの構成を調べていたとされています。十分な準備をしたうえで、複数の配電会社を協調して攻撃したと考えられています。

この事件では、コンピューター内の情報が使えなくなっただけでなく、家庭や事業所へ届ける電気そのものが止まりました。

ただし、ウクライナ全土が停電したわけではありません。また、この事件を身代金目的のランサムウェア攻撃として説明するのも正確ではありません。

米国|ランサムウェアで燃料パイプラインが操業停止

2021年5月7日、米国のコロニアル・パイプライン社がランサムウェア攻撃を受けました。

同社が運営するパイプラインは、メキシコ湾岸地域から米国東海岸へ、ガソリンや軽油、航空燃料などを輸送する大規模な燃料輸送網です。

米国エネルギー情報局によると、パイプラインの総延長は約5,500マイル(約8,850km)、輸送能力は1日当たり約250万バレルに上ります。

攻撃を受けた同社は、一部のシステムを停止し、被害の拡大を防ぐためパイプライン全体の操業を一時的に止めました。

ウクライナの事件と違い、コロニアル・パイプラインでは攻撃者が燃料輸送設備を直接操作して停止させたと確認されているわけではありません。

被害を受けたのは企業のITシステムで、運営会社が安全確保のために操業停止を判断しました。

米連邦捜査局(FBI)は5月10日、この事件に「DarkSide」と呼ばれるランサムウェアが関与していたと発表しています。

パイプラインは段階的に再稼働し、5月13日にはシステム全体の再稼働と、供給先への燃料配送の再開が発表されました。

しかし、パイプラインが再稼働したからといって、ガソリンスタンドまでの供給網がすぐに正常化したわけではありません。

運営会社は5月13日の発表で、一部地域では燃料配送への支障が残る可能性を説明していました。5月17日には通常水準で燃料を輸送していると発表しています。

米国エネルギー省によると、コロニアル・パイプライン社は2021年5月7日、ランサムウェア攻撃を受けたことをきっかけに、パイプラインシステムを予防的に停止しました。

5月13日には全システムの再稼働が発表され、燃料配送が再開されています。政府は関係機関や事業者と連携し、燃料供給への影響を抑える対応を進めました。

※米国エネルギー省の公式発表を記事用に要約
出典:米国エネルギー省「Colonial Pipeline Cyber Incident」

操業停止によって、米国の一部地域では燃料の供給に混乱が生じました。供給不足への不安から、ガソリンの買いだめや品切れも発生しています。

企業の情報システムへの攻撃が、燃料を運ぶインフラの停止につながり、その影響が地域の暮らしに広がった事件でした。

また、コンピューターの復旧や操業の再開と、利用者が普段どおり燃料を購入できる状態に戻ることは、同じではありません。

インフラ障害では、事業者の設備が復旧した後も、配送や在庫などの問題が続く場合があります。

米国|2026年に水道施設の制御装置が攻撃対象に

電力や燃料だけでなく、水道施設でも設備の運用に影響するサイバー攻撃が問題になっています。

2026年7月30日、FBIと米環境保護庁(EPA)は、水道・下水道関連施設で使用されている制御装置を狙ったサイバー攻撃について、共同で注意喚起を発表しました。

FBIによると、7月27日以降、少なくとも7州の水道・下水道関連事業者から攻撃事案の報告があり、一部では実際の運用に支障が生じました。

攻撃の対象になったのは、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)と呼ばれる産業用の制御装置です。

PLCは、ポンプやバルブなどの設備を、あらかじめ設定された条件に従って動作させるために使われます。水道施設では、水を送る設備の監視や制御を担当することがあります。

今回の攻撃では、インターネットからアクセスできる状態になっていた一部のPLCに、攻撃者が不正に接続しました。

その後、装置のIPアドレスやパスワードが変更され、施設の担当者が遠隔から設備を監視・操作する機能に支障が生じたと報告されています。

実際の影響として、FBIとEPAは水圧の低下や浸水を挙げています。

水道管の水圧が下がると、条件によっては外部から汚染された水が入り込む危険性もあります。ただし、今回の事件で実際に飲料水が汚染されたと確認されたわけではありません。

また、すべての被害施設で断水が起きたという意味でもありません。

障害の規模は、PLCが監視に使われていたのか、設備の操作に使われていたのか、手動運転に切り替えられるかどうかによって異なります。

FBIとEPAは2026年7月30日、米国の水道・下水道関連施設で、インターネットへ接続された産業用制御装置を標的とする攻撃が発生していると発表しました。

少なくとも7州の事業者から報告があり、一部施設では水圧低下や浸水などの運用障害が確認されました。攻撃者は装置のネットワーク設定やパスワードを変更し、担当者による監視・制御を妨害していました。

FBIとEPAは、制御装置をインターネットに直接公開しないこと、アクセス管理を強化することなどを推奨しています。

※FBI・EPAの2026年7月30日付共同注意喚起を記事用に要約
出典:FBI・EPA「Malicious Cyber Actors Targeting Water and Wastewater Sector Internet-Facing Programmable Logic Controllers」

この事件から分かるのは、攻撃者が設備そのものを監視・制御する装置へ侵入した場合、情報システムだけでなく、水道施設の運用にも影響が及ぶことです。

なお、FBIの7月30日付の発表だけでは、攻撃者の身元や金銭要求の有無まで確定できません。そのため、この事件を身代金目的のランサムウェア攻撃として扱うのは適切ではありません。

攻撃方法によってインフラ停止の仕組みはどう違う?

3つの事件を比べると、サイバー攻撃によるインフラ障害には異なる形があることが分かります。

事件 攻撃・停止の仕組み 確認された影響
2015年・ウクライナ 電力制御システムを通じた遮断器の不正操作 約22万5,000件の顧客が1〜6時間停電
2021年・米国パイプライン ITシステムへのランサムウェア攻撃を受けた予防的な操業停止 燃料輸送が一時停止し、供給網にも混乱
2026年・米国水道施設 制御装置への不正アクセスと設定変更 一部施設で水圧低下・浸水などの運用障害

ウクライナでは電気そのものが止まり、米国のパイプラインでは事業者が操業を停止し、水道施設では監視・制御機能が妨害されました。

すべてを「ハッキングで設備が止まった」と一括りにしてしまうと、攻撃の仕組みも被害の意味も見えにくくなります。

そして、これらの事件が発生したという事実だけで、日本全国の電気・水道・通信が一度に停止すると予測することはできません。

ただし、社会を支えるインフラがサイバー攻撃の標的になり、現実のサービスに影響が及んだことは確かです。

ランサムウェアは電力・水道などのライフラインも狙う?

電力会社や水道事業者などの重要インフラも、身代金を目的としたサイバー攻撃の標的になり得ます。

2021年のコロニアル・パイプライン事件は、金銭目的のランサムウェア攻撃が社会に必要なサービスの停止につながった代表例です。

ただし、重要インフラへの攻撃がすべて金銭目的とは限りません。攻撃者が何を目的としているのか、実際に何を行ったのかは事件ごとに区別する必要があります。

なぜ重要インフラが身代金要求の標的になり得るのか

ランサムウェアを利用する犯罪者にとって、企業が業務を続けられなくなる状況は、金銭を支払わせるための圧力になります。

一般企業であれば、受注管理や製造ライン、顧客対応などが止まるかもしれません。

重要インフラの事業者では、そうした障害が医療、物流、燃料供給など、社会に欠かせないサービスへ影響する場合があります。

復旧を急がなければならない事情を、攻撃者が脅迫に利用する可能性があります。

ただし、重要インフラが他の業種より必ず狙われやすいと断定できるわけではありません。攻撃者の中には特定の業種を狙う者もいれば、インターネットに公開された弱点を探し、侵入できた組織へ金銭を要求する者もいます。

日本国内でも、ランサムウェアによる被害報告は高い水準で続いています。

警察庁の2026年上半期の統計では、企業・団体等から報告されたランサムウェア被害が123件となりました。統計を取り始めた2020年下半期以降、半期として過去最多となっています。

2025年の年間被害報告は226件でした。2026年上半期の123件は前年同期の116件を上回っています。

期間 ランサムウェア被害報告
2023年 197件
2024年 222件
2025年 226件
2026年1〜6月 123件

なお、2026年は半年間の数字です。年間件数と単純に比較して増減を判断することはできません。また、これらは警察に報告された被害件数であり、国内で発生したすべての攻撃を網羅しているわけではありません。

警察庁が2026年9月に公表した上半期のサイバー脅威統計では、ランサムウェア被害の報告が123件となりました。

企業規模別では中小企業79件、大企業31件、団体等13件です。また、データを暗号化せず、盗んだ情報の公開などを材料に金銭を要求する「ノーウェアランサム」についても、別集計で9件の被害が報告されています。

※警察庁の2026年上半期サイバー脅威統計を記事用に要約
出典:警察庁「令和8年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

ランサムウェアの二重恐喝と情報窃取型の脅迫

ランサムウェアというと、ファイルを暗号化して使えなくし、元に戻すための身代金を要求する攻撃を思い浮かべる人が多いかもしれません。

こうした手口は現在も存在しますが、近年は情報の持ち出しや公開脅迫を組み合わせる攻撃も問題になっています。

代表的なのが「二重恐喝」です。

攻撃者は企業のデータを暗号化する一方で、顧客情報や機密情報を外部へ持ち出します。そして身代金を支払わなければ盗んだ情報を公開すると脅迫します。

企業がバックアップからデータを復旧できたとしても、すでに持ち出された情報まで回収できるわけではありません。

さらに、データを暗号化せず、情報窃取と公開脅迫を中心に金銭を要求する「ノーウェアランサム」と呼ばれる手口もあります。

攻撃・恐喝の種類 主な手口
従来型ランサムウェア データを暗号化し、復旧と引き換えに金銭を要求する
二重恐喝型ランサムウェア 暗号化に加えて情報を盗み、公開などを材料に脅迫する
ノーウェアランサム 暗号化せずに情報を窃取し、公開脅迫などで金銭を要求する

警察庁の2026年上半期の統計では、犯行手口が判明したランサムウェア被害66件のうち61件が二重恐喝型でした。

これは被害報告123件のうち61件という意味ではなく、手口を確認できた66件の内訳です。

確認できた事例では二重恐喝が多くを占めていますが、従来の暗号化型攻撃がなくなったわけではありません。両方の手法が現在も利用されています。

IPAが2026年1月に発表した「情報セキュリティ10大脅威2026」でも、「ランサム攻撃による被害」は組織向けの第1位でした。「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」は第2位となっています。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威2026」は、2025年の事故や攻撃の状況などをもとに、専門家・実務担当者が審議・投票して選定したものです。

組織向けでは「ランサム攻撃による被害」が第1位、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が第2位、「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」が第6位でした。

この順位は将来の攻撃発生確率を示すものではありませんが、これらの脅威が継続的に重視されていることを表しています。

※IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」の選定結果を記事用に要約
出典:IPA「情報セキュリティ10大脅威2026」

GMOへのサイバー攻撃で起きた金銭要求と顧客への影響

2026年10月、GMOインターネットが提供する「お名前.com デスクトップクラウド」で不正アクセスが発生しました。

このサービスはクラウド上のWindows環境などを利用でき、FXの自動売買などにも使われていました。

GMOは10月24日の第4報で、サービス環境への不正アクセスと顧客情報の外部持ち出しを確認したと発表しています。

一部の利用者からは、証券会社やFX会社などの取引口座で身に覚えのない取引が行われたという報告も寄せられました。

GMOは事件に起因する不正取引で生じた損失について、調査のうえ補償する方針を示しています。また、対象利用者への一律5,000円のお見舞金や、代替サービスの一定期間無償提供も発表しました。

被害の経緯を振り返ると、10月19日に利用者からの問い合わせを受けて調査が始まり、20日に一部のサーバー環境で不正なプログラムが設置されていることが確認されました。

同社は新規申し込みやコントロールパネルの利用を停止し、21日午前4時からは被害拡大を防ぐため、対象サービスの全プランのサーバーを順次停止しました。

その後、利用者の取引口座で不審な操作があったという報告が寄せられ、警察への相談や関係機関との連携も進められました。

さらに、攻撃者とみられる人物から約80億円の金銭要求があったことが明らかになりました。

攻撃者は要求に応じなければ、顧客情報を公開するほか、取引口座への不正操作やランサムウェア攻撃を行うなどと脅迫していました。

GMOの公式発表では、国内外70を超える証券会社・FX会社等に開設された利用者の取引口座に不正操作を続けるという脅迫内容も示されています。

ただし、これは攻撃者が示した内容です。70を超える金融事業者のすべてで不正な取引が実際に行われたと確認されたわけではありません。

GMOインターネットは2026年10月24日の第4報で、「お名前.com デスクトップクラウド」に対する不正アクセス、顧客情報の外部持ち出し、一部利用者からの不審な取引の報告を公表しました。

また、10月26日23時10分時点の第7報では、攻撃者とみられる人物から、10月27日12時に顧客情報の公開とランサムウェア攻撃を行うという予告を受けたことを明らかにしています。

GMOは攻撃者の要求には応じない方針を示すとともに、利用者の端末調査や被害拡大防止の対応を進めています。

※GMOインターネットの2026年10月24日付第4報、10月26日付第7報を記事用に要約。追加攻撃の予告は攻撃者側の主張であり、実行が確認されたという意味ではありません。
出典:GMOインターネット「第4報」
出典:GMOインターネット「第7報」

GMO事件では、企業のサービスを利用する顧客の金融取引への影響が問題になり、その利用者への被害を広げるという脅迫も行われました。

ただし、この事件でランサムウェアによるファイルの暗号化が実際に発生したと断定することはできません。GMOは第7報の段階で、利用者端末にマルウェアやランサムウェアが仕掛けられていないか調査を進めていると説明しています。

今回の事案は、不正アクセス、情報の持ち出し、金銭要求、利用者からの不審な取引の報告があった事件として整理するのが正確です。

また、GMO事件の攻撃者が次に電力や水道などのライフラインを狙うという証拠も確認されていません。

身代金を支払っても復旧や情報削除は保証されない

企業が高額な身代金を要求された場合、お金を支払えば問題を解決できるのでしょうか。

必ずしもそうではありません。

データを暗号化された場合でも、攻撃者が復号に必要な情報を提供する保証はありません。データを復元できたとしても、システムに不正プログラムが残っていないか、別の侵入経路がないかを確認する必要があります。

盗まれた情報についても同様です。

攻撃者が情報の削除を約束したとしても、実際に削除されたかどうかを被害企業が確認できるとは限りません。情報が別の場所に複製されている可能性もあります。

米国CISAは、身代金を支払ってもデータの復旧が保証されず、支払い後に再び攻撃されたり、追加の金銭を要求されたりする場合があると注意を促しています。

GMOインターネットも、情報の削除や不正利用の防止が保証されないことなどを理由に、攻撃者の要求には応じない方針を示しました。

ただし、実際に攻撃された企業には、顧客や取引先への影響を考慮しながら対応しなければならない難しさがあります。

特に人命や社会生活に関わる重要インフラでは、復旧を急ぐ必要がある一方、安全性を確認せずにシステムを再稼働させることも危険です。

金銭目的の犯罪と国家が関与する攻撃は何が違う?

重要インフラへの攻撃には、金銭を得ること以外の目的がある場合もあります。

機密情報の収集、社会への混乱、特定の設備やサービスの妨害など、攻撃者が目指す結果はさまざまです。

国家が関与するとされるサイバー攻撃では、外交・安全保障上の目的に基づく活動が問題になることがあります。一方、ランサムウェアを利用する犯罪グループでは、金銭の獲得が主な目的になる場合が多く見られます。

主な目的 攻撃手法の例 考えられる影響
金銭の獲得 暗号化、情報窃取、身代金要求 業務停止、情報流出、復旧費用
情報収集・諜報 機密情報やシステム情報の不正取得 情報漏えい、安全保障上の問題
妨害・破壊 設備の不正操作、データ破壊、サービス妨害 停電、設備障害、社会サービスの停止

ただし、この分類によって攻撃者を簡単に特定できるわけではありません。国家が関与するとされる活動と犯罪組織による活動が、明確に分けられない事件もあります。

攻撃の方法だけを見て、特定の国や犯罪グループが関与したと断定することはできません。

身代金目的の攻撃がライフラインの運用に影響することは、海外の事例から確認できます。しかし、日本の電力・水道・通信が次に狙われると断定できる情報はありません。

日本政府は重要インフラをどう守る?2026年のサイバーセキュリティ対策

日本政府も、電力、通信、水道、医療、物流などの重要インフラを守るため、サイバーセキュリティ対策を強化しています。

2026年には重要インフラの新しい統一基準が施行され、港湾や医療などの分野でも安全管理のガイドラインが更新されました。

さらに、重大なサイバー攻撃に国として対処するための法制度も整備されています。

ただし、政府の制度ができたからといって、すべての事業者が同じ日に対策を完了するわけではありません。実際に何が変わったのか、それぞれの制度の役割を分けて見ていきます。

2026年10月施行の重要インフラ統一基準とは

2026年10月1日、「重要インフラのサイバーセキュリティ対策のための統一基準」が施行されました。

それ以前も、政府は「重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画」に基づき、事業者の自主的な取り組みを促進してきました。

しかし、電力、医療、金融、水道などは設備や業務内容が異なり、事業者の規模にも差があります。そのため、サイバーセキュリティ対策の進め方や水準にばらつきが生じていました。

例えば、電力事業者では設備の監視や運転制御が重要ですが、医療機関では電子カルテや診療情報を安全に利用し続けられることが欠かせません。

守るべきサービスは違っても、外部からの不正アクセスへの備え、障害発生時の連絡体制、復旧手段の確保など、共通して取り組むべき課題があります。

政府は、こうした共通課題に対して、分野や事業者を横断して対策を進めるための基準を整備しました。

重要インフラ統一基準は、すべての事業者に同じセキュリティ製品を導入させる制度ではありません。政府機関が重要インフラのサイバーセキュリティを確保するための施策を進め、事業者の取り組みを評価・改善するための統一的な基準です。

国家サイバー統括室によると、2026年7月31日のサイバーセキュリティ戦略本部で「重要インフラ統一基準」が決定されました。

同年9月11日には、重要インフラ所管省庁等が安全基準などを策定する際に参照するガイドラインも整備され、両者は10月1日に施行されています。

従来の行動計画も改定され、今後は新しい基準に基づいて、各分野の施策の改善を進める方針です。

※国家サイバー統括室の重要インフラ統一基準に関する公式説明を記事用に要約
出典:国家サイバー統括室「重要インフラ対策関連」

統一基準の施行は、対策強化に向けた節目ですが、施行日にすべての現場で対応が完了したという意味ではありません。

今後は各分野の状況に応じた取り組みを具体化し、実施状況を確認しながら改善していくことが求められます。

名古屋港などの被害を受けて強化されたセキュリティ対策

政府の対策は、全国共通の基準だけではありません。実際に被害が発生した分野でも、安全管理の見直しが進んでいます。

港湾分野では、国土交通省が2023年の名古屋港の事件を踏まえ、情報セキュリティ対策の強化を進めてきました。

2025年3月28日には「港湾分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」の第2版を公表。さらに2026年5月13日には、関連する基準やセキュリティ環境の変化を反映した第3版を公表しました。

港湾の業務には、ターミナル運営会社だけでなく、港湾管理者、物流事業者、システムの保守会社など、多くの関係者が関わっています。

そのため、特定の企業のコンピューターを守るだけでは十分とはいえません。

外部からの保守接続をどのように管理するか、障害時に貨物情報をどう扱うか、関係事業者の間で誰が連絡や復旧の判断を行うか。こうした実際の運用まで含めて対策を整える必要があります。

国土交通省は、名古屋港で発生したサイバー攻撃事案を踏まえ、港湾分野での情報セキュリティ対策を徹底する必要があると説明しています。

2026年5月13日に公表した第3版ガイドラインでは、セキュリティ環境の変化に対応するとともに、関連する最新の基準や他のガイドラインなどとの整合を図っています。

※国土交通省の港湾分野ガイドライン公表内容を記事用に要約
出典:国土交通省「港湾分野における情報セキュリティ確保に係る安全ガイドライン」

医療分野でも対策の更新が進んでいます。

厚生労働省は2026年6月、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版」を公開しました。

また、医療機関と薬局が優先的に取り組む事項をまとめた、2026年版のサイバーセキュリティ対策チェックリストも整備しています。

医療機関にとって深刻なのは、電子カルテなどのシステムが停止した際にも患者の診療を続けなければならないことです。

厚生労働省は、サイバー攻撃を想定した事業継続計画(BCP)の策定も求めています。

BCPとは、システム障害や災害が起きても、必要な業務を可能な範囲で継続し、復旧するための計画です。

例えば電子カルテが使えなくなった場合、どの患者情報が必要になるのか、どの診療業務を優先するのか、誰が復旧作業を指揮するのかを、あらかじめ決めておく必要があります。

システムの再稼働まで待つだけでは、医療機関に求められる役割を果たせない場合があるからです。

厚生労働省は2026年6月、医療情報システムの安全管理ガイドライン第7.0版と、医療機関・薬局向けのサイバーセキュリティ対策チェックリストを公開しました。

また、サイバー攻撃を想定したBCP策定の確認表、解説資料、ひな形なども提供しています。医療情報システムの安全管理と、攻撃を受けた際の診療継続の両方を重視しています。

※厚生労働省の医療情報システム安全管理関連資料を記事用に要約
出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版」

港湾と医療では業務内容が違いますが、共通しているのは、攻撃を受けにくくする対策だけでなく、障害が起きても必要なサービスを維持できる体制を重視していることです。

能動的サイバー防御とは?制度の仕組みと実施範囲

日本政府のサイバー対策を調べると、「能動的サイバー防御」という言葉を目にすることがあります。

これは、重大なサイバー攻撃の兆候を把握し、一定の法的条件の下で攻撃への対処を行う仕組みに関わる考え方です。

日本では2025年にサイバー対処能力強化法と関連する整備法が成立し、2026年には施行に向けた制度整備が進められました。

制度の柱には、官民の情報共有・連携、通信情報の適切な利用、重大なサイバー攻撃へのアクセス・無害化措置などがあります。

アクセス・無害化措置とは、一定の法的要件を満たす場合に、攻撃に利用されるコンピューターなどへアクセスし、攻撃の機能を停止させるための措置です。

ただし、政府がサイバー攻撃を疑ったら、自由にあらゆるコンピューターへアクセスできるという制度ではありません。

アクセス・無害化措置には所定の要件や手続きがあり、警察・自衛隊の役割や、独立機関による承認などが定められています。

通信情報の利用についても、法律に基づく仕組みや監督の下で行われるもので、すべての通信内容を無制限に監視できるという意味ではありません。

ここで、重要インフラ統一基準と能動的サイバー防御を混同しないことが大切です。

対策 主な役割
重要インフラ統一基準 重要インフラのセキュリティ水準を分野横断的に高める
港湾・医療などの分野別ガイドライン 各分野の現場に合わせて予防・復旧・業務継続を進める
能動的サイバー防御に関する制度 重大な攻撃の把握や法定の対処措置を含む政府の対応を整備する

例えば電力会社の保守用ネットワーク機器に脆弱性が見つかった場合、機器を更新したり、不必要なアクセスを制限したりするのは事業者自身の取り組みです。

一方、国の安全に関わる重大なサイバー攻撃が発生した場合には、法律に基づく政府機関の対応が問題になります。

両者は対立するものではなく、別々の役割を担っています。

なお、GMOインターネットは2026年10月の事件を受け、能動的サイバー防御に関する措置の実施を含め、政府関係機関へ対応を要請する方針を示しました。

ただし、要請を行ったことと、政府が実際にアクセス・無害化措置を実施したことは別です。具体的にどのような措置が行われたのか、確認できない部分を推測で補うことはできません。

事業者に求められる外部接続管理・バックアップ・復旧計画

政府が制度を整えても、事業者の現場で対策が機能しなければ被害は防げません。

重要なのは、不正アクセスを受けにくくすることと、侵入された場合に被害を広げず、安全に復旧できる状態を作っておくことです。

対策 具体的な内容 目的
外部接続の管理 VPNや遠隔保守接続の制限、認証の強化、脆弱性への対応 侵入経路を減らす
アカウント・権限管理 不要なアカウントの削除、権限の制限、認証情報の管理 侵入後の被害拡大を抑える
バックアップの保護 データの分離保存、世代管理、復元テスト 暗号化やデータ破壊から復旧する
事業継続計画(BCP) 代替業務、優先業務、連絡体制、復旧手順の準備 障害が続いても必要なサービスを維持する
委託先の管理 接続条件、役割分担、事故時の連絡方法の確認 外部事業者を経由するリスクを抑える
監視・記録の保存 異常の監視、アクセスログの適切な保存 侵入の調査や再発防止に役立てる

バックアップは、保存してあるだけでは十分とはいえません。バックアップ自体が暗号化されていたり、復旧に必要な情報が不足していたりすれば、すぐに業務を再開することは難しくなります。

また、システム上のデータを戻せたとしても、実際の貨物や設備の状態と一致しているか、安全に運転を再開できるかを確認しなければならない場合があります。

医療機関であれば電子カルテが使えない間の診療、港湾であればコンテナの管理業務をどう続けるか。サービスの内容に応じた代替手段も必要です。

こうした対策は、機器を導入するだけで完成するものではありません。担当者の訓練や復旧テスト、経営層による判断体制の整備も欠かせません。

政府の対策が進んでも残るリスクとは

日本では重要インフラ統一基準の施行や分野別ガイドラインの整備など、さまざまな対策が進められています。

それでも、サイバー攻撃によるサービス停止のリスクを完全になくすことはできません。

電力や水道などの設備には、長期間使い続けることを前提に設計されたものがあります。安全性や安定運用を確保しながら更新する必要があるため、古い機器をすぐに交換できない場合もあります。

また、事業者のシステムは保守会社やクラウドサービス、外部の委託先などと接続されていることがあり、管理対象が広範囲に及びます。

制度が施行されたことと、すべての現場で対策が十分に機能していることも同じではありません。

実際に対策が導入されているか、訓練や点検が継続されているか、問題が見つかった際に改善できるかを確認していく必要があります。

重要インフラのサイバーセキュリティは、攻撃を完全に防ぐことだけが目的ではありません。

侵入された場合にも被害を広げず、必要なサービスをできるだけ維持し、安全に復旧することまで含めた取り組みです。

政府の対策が強化されたことを理由に「もう安全だ」と考えるのも、逆に「日本のライフラインは簡単に止まる」と考えるのも適切ではありません。

実際の被害は攻撃された設備やシステム、事業者の対策、復旧体制などによって異なります。

もし日本のインフラが止まったら生活はどうなる?備えておきたいこと

仮にサイバー攻撃によって電気や水道、通信などが停止した場合、私たちの暮らしにはどのような影響が出るのでしょうか。

停電すれば照明や家電が使えなくなる可能性があり、断水すれば飲み水やトイレの確保が問題になります。通信障害が起きた場合には、電話やインターネット、オンライン決済などにも影響が及ぶかもしれません。

もちろん、サイバー攻撃によってすべてのライフラインが同時に止まるとは限りません。何が使えなくなるかは、障害が発生した設備や地域、継続時間によって変わります。

停電・断水・通信障害で使えなくなるサービス

停電した場合、使えなくなるのは照明やテレビ、冷蔵庫だけではありません。

自宅のWi-FiルーターやONU(光回線終端装置)も、多くは電源を必要とします。通信会社のネットワークが正常でも、自宅の機器が停電すればインターネットにつながらなくなる場合があります。

マンションではエレベーターや共用設備が停止することもあります。給水ポンプが電力で動いている建物では、地域の水道設備が正常でも各住戸へ水を送れなくなる可能性があります。

電子レンジやIH調理器が使えなくなるほか、ガスの供給が続いていても、電気を必要とする給湯器などは動かない場合があります。

断水が発生した場合、飲み水や調理用の水だけでなく、トイレも問題になります。

水洗トイレを通常どおり使えなくなることがあり、下水道にも障害がある場合には、別に確保した水を流すことも適切でない場合があります。

通信障害では、スマートフォンによる通話やインターネット利用のほか、仕事の連絡、地図アプリ、予約サービスなどが使いにくくなる可能性があります。

携帯電話の基地局に直接被害がなくても、広い範囲の停電が続いて非常用電源が使えなくなれば、通信サービスへ影響する場合があります。

停止するインフラ 生活への影響例
電力 照明、冷蔵庫、調理家電、給湯設備、エレベーター、自宅の通信機器など
水道 飲み水や調理用の水の不足、洗濯・入浴への影響、トイレの使用制限
通信 電話、インターネット、オンラインサービス、情報収集など
金融・決済 一部のATM、送金、カード決済などの利用制限
物流 商品の入荷遅延、配送停止、店舗での品不足など

実際には、非常用電源や代替の通信経路などが用意されている場合もあります。障害が起きたからといって、表にあるすべての問題が必ず発生するわけではありません。

ただし、一つのインフラが停止すると、それに依存する別のサービスも制限される可能性があります。

ATMやキャッシュレス決済が使えなくなる可能性

普段の買い物をスマートフォンやクレジットカードで済ませている人にとって、停電や通信障害は支払いにも影響します。

スマートフォンが動いていても、インターネット接続が必要な決済アプリは正常に利用できない可能性があります。

店舗の決済端末が停電したり、決済会社と通信できなくなったりした場合には、クレジットカードの支払いにも影響することがあります。

ただし、決済方法によって仕組みは異なり、障害時でも一部の機能を利用できる場合があります。

ATMも同様です。停電やシステム障害によってATMが停止すれば、銀行口座に残高があっても、その場で現金を引き出せなくなることがあります。

そのため、支払い方法を一つに絞らず、千円札や小銭など、少額の買い物に使いやすい現金をある程度用意しておくと役立ちます。

ただし、現金さえあれば必ず買い物ができるわけではありません。店舗自体が営業していなかったり、商品が不足していたりすれば、現金でも購入できない場合があります。

内閣府は、防災啓発サイト「それ、実は防災なんです。」で、普段からできる備えの一つとして、現金を持ち歩くことを紹介しています。

停電などによってスマートフォン決済、カード決済、ATMが利用できなくなる可能性があるため、千円札や小銭を少し用意しておくことを勧めています。

※内閣府の防災啓発サイトを記事用に要約
出典:内閣府「それ、実は防災なんです。」

家庭では何日分の水・食料・携帯トイレを備蓄する?

電気や水道が使えない状況に備えるなら、水や食料の確保から考えるのが現実的です。

内閣府は災害への備えとして、水や食料などを最低3日分、できれば1週間分用意することを勧めています。農林水産省も、食品の家庭備蓄について同様の目安を示しています。

これらは主に自然災害への備えとして示された数字です。サイバー攻撃による停電や断水が、必ず3日間あるいは1週間続くと予測しているわけではありません。

ただし、原因が地震であってもサイバー攻撃であっても、電気や水道が使えない間に必要となる水や食料は大きく変わりません。

飲用と調理に使う水は、1人1日約3リットルが目安です。

この基準で計算すると、1人分は3日間で9リットル、7日間で21リットルになります。4人家族なら3日分で36リットル、7日分では84リットルです。

備蓄品 1人・3日分 1人・7日分
水(飲用・調理用) 約9リットル 約21リットル
食料 約9食 約21食
携帯トイレ 約15回分 約35回分

携帯トイレは、自治体の防災情報などで1人1日5回分を目安として案内されています。実際の使用回数には個人差があるため、家族の状況に応じて調整してください。

なお、水の1人1日3リットルは主に飲用・調理用の目安です。洗濯や入浴、掃除などの生活用水まで含めた量ではありません。

内閣府と農林水産省は、災害時に備えて最低3日分、できれば1週間分程度の水や食料などを確保することを勧めています。

農林水産省は、普段利用している食品を少し多めに買い、消費した分を補充する「ローリングストック」も紹介しています。

また、東京都台東区などの自治体では、携帯トイレを1人1日5回分、最低3日分、できれば7日分備えるよう案内しています。

※内閣府・農林水産省・台東区の防災資料を記事用に要約。備蓄日数はサイバー攻撃による障害の継続時間を示すものではありません。
出典:内閣府「自然災害への備えは万全ですか?」
出典:農林水産省「災害時のために、備えていますか?」
出典:台東区「携帯トイレを備蓄しましょう」

水や食料を一度に買いそろえるのが難しい場合は、普段使っているレトルト食品や缶詰、パックご飯、飲料水などを少し多めに購入する方法があります。

賞味期限が近いものから使い、使った分を補充していけば、無理なく備蓄を続けられます。

乳幼児がいる家庭ではミルクや離乳食、高齢者や持病のある人がいる家庭では必要な食品や医薬品なども別に考えておく必要があります。

停電や通信障害に備えるために準備したいもの

水や食料のほかに用意しておきたいのが、スマートフォンを充電するためのモバイルバッテリーです。

停電してもスマートフォンの電池が残っていれば、通信サービスが利用できる範囲で連絡や情報収集を続けられます。

ただし、携帯電話会社の設備に障害が発生していれば、モバイルバッテリーがあっても電話やインターネットが使えるとは限りません。

情報を得る方法をスマートフォンだけに頼らないことも大切です。

電池式のラジオがあれば、地域の放送が続いている場合に情報を確認できます。懐中電灯やLEDランタンなどがあれば、停電した夜間の生活にも役立ちます。

家族の連絡先や、自治体の窓口、近くの避難場所などを紙に控えておくのも一つの方法です。通信障害が起きると、連絡先そのものをスマートフォンで調べることが難しくなる可能性があります。

消防庁は、携帯電話などから119番につながらない場合、公衆電話を使う、近隣の人や店舗に通報を依頼する、消防署へ直接向かうといった方法を案内しています。

総務省消防庁は、通信障害などで119番の緊急通報がつながりにくい場合の対応として、公衆電話の利用、近隣の人や店舗への通報依頼、消防署所へ直接向かう方法などを示しています。

緊急時に備え、スマートフォン以外の連絡手段も知っておくことが役立ちます。

※総務省消防庁の119番緊急通報に関する案内を記事用に要約
出典:総務省消防庁「119番緊急通報」

大規模な通信障害や災害の際には、「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」と呼ばれる無料の公衆Wi-Fiが提供される場合もあります。

携帯電話会社との契約に関係なく、対応するWi-Fiスポットを利用できる仕組みですが、必ず開放されるとは限らず、利用できる場所も限られています。

また、通信が暗号化されていない場合があるため、ネットバンキングや重要な個人情報の入力などは慎重に判断する必要があります。

通信障害のときは、情報の発信元と日時を確認しましょう。

SNSには障害や復旧に関する情報が流れることがありますが、未確認の情報が含まれている可能性もあります。通信事業者、自治体、政府機関などの公式発表を確認することが大切です。

また、自宅で電源が必要な医療機器を使用している場合は、一般的なモバイルバッテリーだけで対応できるとは限りません。必要な代替電源や停電時の対応について、あらかじめ医療機関や機器の提供事業者などに相談しておくことが重要です。

冷蔵庫についても、停電時には扉の開閉をできるだけ減らし、食品の保存状態に注意する必要があります。停電が長引いた場合は、見た目やにおいだけで安全性を判断しないようにしましょう。

サイバー攻撃への不安から、必要以上に食品や日用品を買い込む必要はありません。

特定の攻撃がいつ起きるかを予測するより、電気・水道・通信などが一時的に使えなくなっても困りにくい状態を、日頃から整えておくことが現実的な備えになります。

まとめ|サイバー攻撃によるインフラ停止は現実のリスク

サイバー攻撃によって重要インフラが停止することは、決して架空の話ではありません。

日本では2023年の名古屋港でコンテナ物流が約3日間止まり、大阪急性期・総合医療センターでは電子カルテの障害によって診療が長期間制限されました。

海外では、2015年のウクライナで約22万5,000件の顧客に停電が発生し、2021年の米国ではランサムウェア攻撃を受けた燃料パイプラインが操業を停止しています。2026年には、水道施設の制御装置が狙われ、一部で水圧低下などの運用障害も報告されました。

こうした事件から、コンピューターへの攻撃が実際の設備やサービスに影響し得ることが分かります。

ただし、被害の仕組みは一つではありません。設備を直接操作されて供給が止まる場合もあれば、安全確保のために事業者が操業を停止する場合もあります。業務管理システムの障害によって、設備そのものが動いていてもサービスを提供できなくなることもあります。

日本政府は2026年10月に重要インフラ統一基準を施行し、港湾や医療などの分野でも対策の強化を進めています。しかし、制度の整備によってサイバー攻撃のリスクが完全になくなるわけではありません。

一方、こうした事例があるからといって、近いうちに日本全国で一斉に停電や断水が起きると予測できるわけでもありません。

日本の重要インフラにも現実のリスクはありますが、確認された被害と、まだ起きていない事態への推測は分けて考える必要があります。

私たちにできるのは、公的機関や事業者の発表を確認しながら、停電・断水・通信障害への一般的な備えを整えておくことです。

危険性を正しく理解し、必要以上に不安を広げず、現実的な対策を考えていくことが大切でしょう。

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