高齢の家族が、一般避難所の床から立ち上がれない。
障害のある子どもが、人混みや館内放送で強く混乱する。
妊娠中で安静が必要なのに、体育館では横になったまま過ごせない。
そんなときに候補となるのが、福祉避難所だ。
とはいえ、「高齢者なら入れるの?」「障害者手帳が必要?」「近くの施設へ直接行けばいい?」と、疑問が次々に出てきますよね。
福祉避難所は、高齢者や障害者なら誰でも自由に入れる施設ではない。障害者手帳や介護認定も、そのまま入所許可証になるわけではない。
判断の中心になるのは、一般避難所で安全に生活できるか、どのような支援が必要かという点だ。
さらに、福祉避難所へ直接行けるかどうかは自治体によって違う。
熊本市の一般的な福祉避難所は、本人の状態確認と市の受入調整を経てから移る二次的な避難所だ。一方、熊本市の福祉子ども避難所には、条件に該当すれば直接避難できる仕組みがある。
同じ「福祉避難所」という名前でも、対象者、避難手順、開設条件は一様ではない。名前が同じなら仕組みも同じだろう、と思いたくなりますよね。ところが、ここが少しややこしい。
この記事では、福祉避難所を利用できる人、熊本市での避難手順、障害や医療上の事情ごとの伝え方、家族・ペットの同行、車中泊、移送、満員時の対応まで、一つずつ整理していきますよ。

福祉避難所は誰が使える?対象者と判断基準
「自分や家族は対象になるのか」。まず気になるのは、ここですよね。
対象者の一覧を見るだけでは、実際に利用を相談できるかまでは分かりにくい。年齢や診断名だけでなく、一般避難所で何が難しいのかまで見ていきますよ。
高齢者・障害者・妊産婦などが対象になる
福祉避難所は、一般避難所での共同生活に特別な配慮が必要な人を受け入れる避難所だ。
対象として想定されるのは、次のような人になる。
- 高齢者
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、内部障害がある人
- 難病患者
- 医療的ケアが必要な人
- 妊婦、産後の人
- 新生児、乳幼児
- 病気やけがで一般避難所での生活が難しい人
- そのほか、避難生活で特別な配慮を必要とする人
ここだけ見ると、「一覧に当てはまれば入れる」と思いますよね。
ところが、実際の判断はもう一段細かい。高齢、障害、妊娠といった属性だけでは受入れは決まらない。
年齢や診断名だけでは利用は決まらない
同じ病気や障害があっても、避難所で起きる問題は一人ひとり違う。
| 本人の状態 | 避難所で起きる問題の例 |
|---|---|
| 歩行が難しい | 床から立てない、トイレへ一人で移動できない |
| 認知症がある | 避難所の外へ出る、場所や時間が分からなくなる |
| 発達障害がある | 音や人混みで混乱し、安全を保てない |
| 医療的ケアが必要 | 電源、吸引、経管栄養、衛生的な処置場所が必要 |
| 妊娠中・産後 | 安静を保てない、授乳や搾乳の場所がない |
診断名は入口であって、支援内容そのものではない。
たとえば「認知症がある」と聞いても、それだけでは必要な見守りは決まらない。
外へ出ようとするのか、薬を飲んだことを忘れるのか、トイレの場所が分からないのか。そこまで分かって、ようやく支援の形が見えてきますよね。
支援を動かすのは、診断名の先にある具体的な困難だ。
手帳や介護認定がなくても相談できる
障害者手帳や要介護認定がなくても、一般避難所で安全に生活できない事情があれば相談できる。
手帳や認定証は、本人の状態を説明する資料にはなる。ただ、全国一律の入所許可証ではない。
反対に、手帳や認定があっても、必ず福祉避難所へ移るとは限らない。
一般避難所内の福祉避難室で安全を確保できる人もいれば、医療機関や福祉施設への緊急入所が適する人もいる。
「手帳がないから相談してはいけない」と引き下がる必要はないんですよね。見るべきなのは、今の避難環境で安全に過ごせるかどうかだ。
受付で伝える3つの情報
では、受付で何を伝えればいいのか。ここは3つに分けると整理しやすい。
- 一人ではできないこと
- 現在の環境で続けると危険なこと
- 安全に過ごすために必要な支援
「足が悪いです」だけでは、必要な支援が見えにくい。
「床から一人で立てず、トイレまで歩けません。移動介助と簡易ベッドが必要です」と伝えると、支援する側も次の手を考えやすくなる。
受付での伝え方
- できないこと:一人では床から立ち上がれません
- 危険なこと:トイレへ向かう途中で転倒するおそれがあります
- 必要な支援:簡易ベッドとトイレ移動の介助が必要です
受付では、診断名より先に生活上の困難を伝える。
病名を隠す必要はない。ただ、病名だけで話を終わらせない。ここがポイントですね。
福祉避難所とは?ほかの避難先との違い
福祉避難所という名前を聞くと、「福祉的な支援が必要なら、そこへ行けばいい」と考えたくなりますよね。
ところが、要配慮者の避難先は一つではない。一般避難所内の福祉避難室、福祉施設への緊急入所、医療機関では役割が違う。ここを先に整理しておきましょう。
| 場所・支援 | 主な役割 |
|---|---|
| 一般避難所 | 被災者が一定期間生活する基本的な避難所 |
| 福祉避難室・要配慮者スペース | 一般避難所内で静かな場所やベッドなどの配慮を確保する |
| 福祉避難所 | 一般避難所での生活が難しい要配慮者を受け入れる |
| 緊急入所・短期入所 | 継続的で専門的な介護が必要な人を福祉施設で受け入れる |
| 医療機関 | 治療や継続的な医学管理が必要な人へ対応する |
一般避難所と福祉避難室
福祉避難所へ移るまでには、本人の状態確認や施設との調整に時間がかかることがある。
「移動先が決まるまで体育館の床で待つしかないの?」と不安になりますよね。そうとは限らない。
その間は、一般避難所内の福祉避難室や要配慮者スペースで環境を整える。
- 簡易ベッドやいすを使う
- トイレや出入口に近い場所を確保する
- 人の出入りが少ない場所へ移る
- 間仕切りで視線や刺激を減らす
- 医療機器の電源を確保する
- 授乳、搾乳、着替えの場所を設ける
避難所によっては独立した部屋を確保できず、教室や保健室、間仕切りで分けた区画を使う。
理想どおりの個室がなくても、今いる場所で何を変えれば安全になるかは相談できる。ゼロか百かで考えなくていいんですよね。
福祉避難所
福祉避難所では、一般避難所よりも要配慮者に合わせた設備や支援を確保しやすい。
ただ、施設ごとに建物、職員、設備、対応できる障害特性や医療的ケアは違う。
一覧に名前が載っているからといって、どの施設でも同じ支援を受けられるわけではない。
空いている施設を選ぶのではなく、本人に必要な支援と施設の受入体制を合わせる。
ホテルの空室検索のように、「近い、空いている、予約する」とはいかないんですよね。
緊急入所・短期入所
避難生活の範囲を超えて、昼夜を通じた専門的介護が必要な人は、福祉施設への緊急入所や短期入所が検討される。
福祉避難所で家族が介護を続けても安全を保てないなら、別の支援先が必要だ。
「家族が頑張れば何とかなる」と抱え込む場面ではない。家族も被災者ですからね。
医療機関
福祉避難所に医師や看護師が常時配置されているとは限らない。
呼吸や意識が不安定、医療機器が作動しない、治療や継続的な医学管理が必要な状態なら医療機関を優先する。
福祉避難所へ入ることを先に決めず、必要な医療・介護・生活環境から行き先を選ぶ。
「福祉避難所に入れるか」ではなく、「今の本人に何が必要か」から考える。この順番なら迷いにくいですよ。
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福祉避難所へ直接行ける?熊本市での避難手順
福祉避難所の場所が分かれば、そのまま向かいたくなりますよね。
けれど、熊本市の一般的な福祉避難所は、本人や家族の判断だけで直接向かう仕組みではない。全国の直接避難制度と熊本市の運用を分けて見ていきますよ。
全国には直接避難できる仕組みもある
自治体によっては、個別避難計画などを通じて対象者と避難先を事前に決め、指定福祉避難所へ直接避難する仕組みを設けている。
「福祉避難所へ直接避難できる」と聞いたことがある人もいるはずだ。それ自体は間違いではない。
ただし、全国の制度説明を、そのまま熊本市の一般的な運用へ当てはめるとずれてしまう。
熊本市の一般的な福祉避難所は二次的避難所
熊本市の一般的な福祉避難所は、市の確認と受入調整を経てから移る。
全国制度の話と、熊本市の実際の運用を混ぜてはいけない。
「福祉避難所の一覧を見つけたから、近い施設へ行こう」と考えたくなりますよね。そこは一度止まって確認する。
熊本市で福祉避難所へ移る6つの手順
- 危険な場所から離れ、身の安全を確保する
- 指定避難所などで要配慮者がいることを申告する
- 保健師等が本人の状態や必要な支援を確認する
- 市が施設の被害状況や受入可能人数を確認する
- 本人のニーズと施設の受入体制を合わせる
- 移動先と移送方法が決まってから移る
福祉避難所の施設一覧は、避難者が空きを探して個別に交渉するための名簿ではない。
施設一覧は地図であって、リアルタイムの空室表ではない。
一覧が公開されていると、「空いている施設を自分で探すための表かな」と思いますよね。実際には、施設の被害状況、職員体制、受入可能人数を確認してから調整する。
未開設の施設へ向かえば、本人へ二度目の移動を強いる。車いすや医療機器を伴う人にとって、この一往復は決して軽くない。
市や避難所から受入先として案内されるまでは、自己判断で施設へ向かわない。
受付では病名より「できないこと」を伝える
受付で「認知症です」「妊娠中です」と伝えるだけでも、相談の入口にはなる。
ただ、支援へつなげるにはもう一歩ほしい。何ができず、何が危険で、何が必要かまで言葉にしていきますよ。
| 伝わりにくい説明 | 支援につながりやすい説明 |
|---|---|
| 認知症です | 一人にすると避難所の外へ出るため、見守りが必要です |
| 足が悪いです | 床から立てず、トイレまで一人で歩けません |
| 発達障害があります | 館内放送で混乱し、外へ走り出すことがあります |
| 医療機器を使っています | 吸引器を数時間ごとに使い、充電できる電源が必要です |
| 妊娠中です | 医師から安静を指示され、床で寝起きできません |
要配慮者について相談したいです
- 本人:80歳・女性
- 状態:一人で立ち上がれず、歩行できません
- 介助:トイレ移動と着替えに介助が必要です
- 認知症:目を離すと外へ出ることがあります
- 薬:朝夕に服用する薬があります
- 現在の問題:家族だけでは夜間の見守りを続けられません
- 必要な支援:横になれる場所、トイレ介助、夜間の見守り
- 連絡先:家族の携帯電話番号
全部をきれいな文章にしなくても大丈夫だ。箇条書きでも、スマートフォンのメモでもいい。支援する側に状況が伝われば、それで前に進める。
福祉子ども避難所は直接避難できる例外
熊本市には、特別支援学校を活用する福祉子ども避難所がある。
熊本地震では、障害児等のいる家庭が指定避難所へ行けず、被災した家屋や車内で避難生活を続けたケースがあった。
一般避難所が難しいと分かっていても、その先がなければ家族は自宅や車へ残るしかない。逃げたいのに、逃げられる場所がない。これでは困りますよね。
福祉子ども避難所は、その詰まりを減らすために整備された。
直接避難できる対象者
- 各特別支援学校の在校生とその家族
- 指定避難所等へ避難可能な人を除く、未就学の障害児とその家族
未就学の障害児なら、全員が直接避難できるわけではない。
また、直接避難の対象外でも、指定避難所での生活が困難と判断された障害者等は、市の調整後に受け入れられることがある。
「直接避難の対象外=絶対に利用できない」ではない。ここは分けて考えたいところですね。
熊本市内の8施設
施設一覧の確認日は2026年7月30日。熊本市が公表している一覧表自体の更新日は2025年3月25日となっている。
| 区 | 施設名 | 主な障害特性 |
|---|---|---|
| 中央区 | 熊本大学教育学部附属特別支援学校 | 知的障害 |
| 中央区 | 熊本県立熊本支援学校 | 知的障害 |
| 東区 | 熊本県立盲学校 | 視覚障害 |
| 東区 | 熊本県立熊本聾学校 | 聴覚障害 |
| 東区 | 熊本県立熊本はばたき高等支援学校 | 知的障害 |
| 西区 | 熊本県立熊本かがやきの森支援学校 | 肢体不自由 |
| 南区 | 熊本市立平成さくら支援学校(高等部) | 知的障害 |
| 中央区 | 熊本市立あおば支援学校(小学部・中学部) | 知的障害 |
表の「主な障害特性」は、熊本市の施設一覧に記載された区分だ。
本人や家族が障害特性だけを見て、好きな施設を選ぶための表ではない。「知的障害ならこの学校」と早合点しないようにしたいですね。
自動参集と受入開始は別
熊本市のマニュアルでは、市内で突発的かつ大規模な地震として震度6弱以上、当面の間は暫定的に震度5強以上が発生した場合、市担当職員や施設管理者等が自動参集し、施設の被害状況を確認するとしている。
自動参集は自動開設ではない。
職員が施設へ集まったからといって、すぐ避難者を受け入れられるとは限らない。建物や設備が安全か、まず確認が必要になる。
「職員が来るなら開いているはず」と思いますよね。ここは別物として覚えておきたい。
直接避難対象者も、受入開始の情報を確認してから向かう。
危険が迫ったときは命を守る行動を優先する
倒壊や火災などの差し迫った危険から逃れるため、近くの福祉施設へ避難することもある。
その場合は事後に本人の状態が確認され、福祉避難所として受け入れるかが判断される。
危険が迫っているときは、制度上の順番より命を守る行動を優先する。
手順を守るために危険な場所へ残る必要はない。制度は命を守るためのもので、命を制度へ合わせるものではないんですよね。
障害・病気・妊産婦などケース別の避難ポイント
福祉避難所の対象になり得る人でも、必要な配慮は障害特性や健康状態によって大きく変わる。
「何を伝えればいいか分からない」という人も多いはずだ。認知症、発達障害、精神障害、医療的ケア、妊娠・出産、乳幼児というケースごとに見ていきますよ。
認知症がある人
一人で歩けることと、避難所で安全に生活できることは別だ。
歩けるなら大丈夫、と見られやすいんですよね。けれど、場所が分からず外へ出てしまえば、安全とは言えない。
- 避難所の外へ出ようとする
- トイレの場所が分からない
- 食事や水分を取らない
- 薬を飲んだことを忘れる
- 昼夜が逆転している
- 普段より強く怖がる、怒る、落ち着かない
認知症という四文字だけでは、避難所で必要な支援は一つも決まらない。
普段はできていたこと、現在できなくなったこと、放置すると危険なことをセットで申告する。
認知症がある人の申告例
- 普段:自宅では娘の声かけでトイレへ行けます
- 現在:避難所では場所が分からず、一人で外へ出ようとします
- 危険:夜間も目を離せず、娘が眠れていません
- 必要な支援:出入口から離れた場所と見守りの相談が必要です
「認知症です」で終わるより、ずっと状況が見えますよね。
発達障害がある人
発達障害がある人は、音、光、人混み、予定変更、身体接触などが強い負担になることがある。
周囲からは「少し落ち着けば大丈夫」と見えることもある。けれど、本人にとっては館内放送一つが限界を超える刺激になることもあるんですよね。
- 苦手な音、光、臭い、接触
- 混乱する前のサイン
- 本人に伝わりやすい説明方法
- 絵カードや筆談の必要性
- イヤーマフなど落ち着くための道具
- 自傷や飛び出しにつながる条件
本人へ刺激への我慢を求めるのではなく、刺激を減らせる場所を調整する。
「静かな場所が必要です」だけで終わらせず、「館内放送の直後に耳をふさぎ、外へ走り出します」まで具体化する。
苦手なことだけでなく、落ち着く方法も一緒に伝える。イヤーマフ、毛布、絵カード、家族の声かけ。使える手段は遠慮なく出していきますよ。
精神障害がある人
災害時は、睡眠不足、強い不安、薬の中断によって症状が悪化しやすい。
人が多い場所で病名を言いたくない、という気持ちもありますよね。無理に周囲へ聞こえる形で話す必要はない。
受付で個別相談を求め、必要な支援者の範囲で情報を共有する。
- 服薬内容と残り日数
- 普段の睡眠状況
- 災害後に変わった症状
- 本人が安心できる声かけ
- 避けたい刺激や接触
- 家族だけで見守れるか
急な意識変化、けいれん、呼吸困難は、障害特性として片づけず医療職の判断につなぐ。
「いつもの症状かも」と迷う場面ほど、変化を伝えて確認してもらう。抱え込まないことが大事ですね。
医療的ケアが必要な人
人工呼吸器、在宅酸素、吸引、経管栄養などが必要な人も、福祉避難所の対象になり得る。
本人の状態が安定していても、電源や衛生環境を確保できなければ普段のケアは続けられない。
「本人は元気だから大丈夫」とは言い切れないんですよね。機器を動かす環境まで含めて、本人の安全になる。
医療機器の使用条件
以下は熊本市が定めた統一申告様式ではないが、受入先でケアを継続できるか判断するために整理しておきたい情報だ。
| 確認項目 | 伝える内容 |
|---|---|
| 機器名 | 人工呼吸器、酸素濃縮器、吸引器、栄養ポンプなど |
| 使用時間 | 24時間、夜間のみ、数時間ごとなど |
| 必要な電源 | 消費電力、充電時間、コンセント数 |
| ケアの頻度 | 吸引は2時間ごと、経管栄養は1日4回など |
| 実施者 | 家族、訪問看護師、医療職など |
電源・バッテリー・消耗品
コンセントが一つあるだけでは、医療機器の避難環境が整ったとは言えない。
「電源があります」と聞けば、ひと安心したくなりますよね。
でも、人工呼吸器を動かしながら予備バッテリーを充電できるのか。吸引器も同時に使えるのか。そこまで確認して、ようやく使える電源だ。
必要な電力、バッテリー残量、充電時間、同時使用する機器まで確認していきますよ。
医療的ケアが必要な人の申告例
- 人工呼吸器を24時間使用しています
- 内部バッテリーは残り約4時間です
- 予備バッテリーが2本あります
- 2時間ごとに吸引が必要です
- 吸引カテーテルは残り2日分です
- 継続して使える電源と清潔な処置場所が必要です
医療機関を優先する状態
呼吸や意識が不安定、医療機器が作動しない、治療や継続的な医学管理が必要な状態なら、福祉避難所ではなく医療機関を優先する。
福祉避難所の調整を待つ場面なのか、今すぐ医療へつなぐ場面なのか。ここは分けて考えたいですね。
妊婦・産後の人・乳幼児がいる家庭
妊娠中や産後、乳幼児がいる家庭も、一般避難所で安全に生活できない事情があれば福祉的な配慮を相談できる。
「妊婦だから」「赤ちゃんがいるから」だけで終わらせず、現在の症状や必要な環境を伝えていきますよ。
妊娠中は安静指示と現在の症状を伝える
- 妊娠週数と出産予定日
- 現在の体調
- 医師からの安静指示
- 服薬内容
- かかりつけ産科
- 床から立てるか、長距離を歩けるか
妊娠週数より、安静指示と現在の症状が避難環境を決める。
同じ妊娠30週でも、問題なく歩ける人と、切迫早産で安静を指示されている人では必要な支援が違いますよね。
産後は母親自身の体調も共有する
産後は、出産日、出産方法、現在の出血や痛み、発熱、授乳状況を共有する。
赤ちゃんが元気でも、母親が安全に過ごせているとは限らない。
赤ちゃんを優先するあまり、自分の痛みや出血を後回しにしやすい。けれど、母親の体調も支援情報だ。遠慮せず伝えていきますよ。
授乳・搾乳・調乳環境を確認する
- 人の出入りが少ない場所
- 手洗いや器具の衛生管理
- 安全な調乳用水
- 必要に応じた保冷環境
- 夜間の照明と移動経路
「授乳室があります」と聞けば安心したくなりますよね。
でも、手を洗えない、調乳用水がない、搾乳した母乳を保管できないなら、名前だけの授乳室になってしまう。
部屋の名前ではなく、実際に授乳や調乳を続けられる環境かを確認する。
医療へつなぐ体調変化
出血、破水、強い腹痛、胎動の明らかな変化、産後の急な体調悪化は産科医療へつなぐ。
乳幼児の呼吸、顔色、哺乳、尿、反応が普段と違う場合も、早めに医療職へ見せる。
家族・介助者は同行できる?ペット・補助犬の扱いも解説
本人を支える家族や介助者が離れると、意思疎通や医療的ケア、夜間の見守りを続けられないことがある。
一方、一般のペット、身体障害者補助犬、家族・介助者では受入れの考え方が違う。全部まとめて「一緒に行ける?」と考えると混乱しやすいので、分けて見ていきますよ。
家族や介助者が同行できる条件
福祉避難所の受入対象には、本人だけでなく家族を含めることができる。
とはいえ、親族全員の同行が保証される制度ではない。
同行人数は、本人の支援内容、施設の受入可能人数、運営体制を踏まえて調整される。
本人の支援における役割を伝える
- 移動や排せつを介助する人
- 服薬や医療的ケアを行う人
- 本人との意思疎通を担う人
- 夜間の見守りを行う人
- 本人の体調変化を判断できる人
「一緒にいたい」だけでなく、離れると何ができなくなるかを説明する。
たとえば、「娘なので同行したい」だけでは、必要性が伝わりにくい。
「本人は言葉で体調を伝えられず、普段の表情や呼吸の変化を判断できるのが同居する娘です」と共有すると、同行する理由が見えますよね。
同行できない場合の引継ぎメモ
家族がけがをした、別の子どもの世話がある、介助者自身が入院した。普段の介助者が同行できないこともある。
そんなときは、本人の支援方法を口頭だけでなく、紙やスマートフォンのメモで引き継ぐ。
家族から支援者へ渡す引継ぎ情報
- 本人の氏名、生年月日、連絡先
- 病気、障害、認知症などの状況
- 常用薬と服用時間
- 食事形態とアレルギー
- 移動、排せつ、着替えの介助方法
- 医療的ケアの内容と頻度
- 意思疎通の方法
- 苦手な刺激と落ち着く方法
- 急変時の対応
- 主治医や支援者の連絡先
本人が言葉で説明できない場面では、この一枚が代わりに話してくれる。地味ですが、かなり頼れる存在ですよ。
介助者の疲労も申告する
介助者も被災者だ。
眠れていない、食事を取れていない、けがや持病で介助が難しい場合は、その状態も申告する。
「本人ではなく自分のことを相談していいのかな」と迷いますよね。相談していい。
本人を支える人が倒れれば、避難生活そのものが続かない。休息場所、簡易ベッド、見守り支援などを早めに求める。
一般のペットを連れて避難する場合
一般のペットは、飼い主と一緒に安全な場所まで移動する同行避難が基本だ。
ただし、一緒に避難先へ行けることと、同じ部屋で過ごせることは別になる。
同行避難と同室飼育の違い
| 言葉 | この記事での意味 |
|---|---|
| 同行避難 | 飼い主がペットを連れて安全な場所まで移動する |
| 同伴避難 | 避難先で飼い主とペットが近い場所や同じ施設内で過ごす |
| 同室飼育 | 飼い主とペットが同じ居住空間で生活する |
言葉が似ていて、かなり紛らわしいですよね。
しかも、自治体や資料によって「同伴避難」の使い方が異なることもある。
用語だけで判断せず、「施設内へ入れられるか」「同じ部屋で過ごせるか」を具体的に確認する。
施設へ伝える情報
- ペットの種類と頭数
- 大きさ
- ケージやキャリーバッグの有無
- 健康状態と服薬
- 人や動物への反応
- 世話をする人
「犬がいます」だけでは、受入方法を考えにくい。
小型犬1頭でケージありなのか、大型犬2頭で薬が必要なのか。条件が変われば、必要な場所も変わりますよね。
飼い主が準備する用品
- ケージやキャリーバッグ
- 首輪、ハーネス、リード
- フードと水
- 薬
- ペットシーツや猫砂
- 排せつ物を処理する袋
- 迷子札やペットの写真
避難所にペット用品が十分あるとは限らない。人の持ち出し袋と同じように、ペット用も準備しておきたいですね。

身体障害者補助犬は一般のペットと異なる
身体障害者補助犬は、盲導犬、介助犬、聴導犬を指し、使用者の移動や生活を支えるために法に基づいて訓練・認定された犬だ。
避難所では、身体障害者補助犬を同伴する使用者の受入れが法律上求められる。
一般のペットとは扱いが異なるため、受付では身体障害者補助犬であることを最初に申告する。
「犬だからペット区画へ」と一括りにしない。補助犬は、使用者の生活を支える存在ですからね。
在宅避難・車中泊中でも福祉支援を受けられる?
指定避難所に入っていなくても、福祉支援の対象から外れるわけではない。
ただ、自宅や車内にいる人は行政や支援者から状態を把握されにくい。「避難所へ行っていないから相談できない」と思わず、必要な情報を知らせていきますよ。
避難所の外にいても支援対象になる
在宅避難者や車中泊避難者も、物資、健康確認、福祉支援を相談できる。
ただし、避難所の外にいる人は、支援する側から見えにくい。
困っていても、居場所が分からなければ支援は届きにくい。待つだけではなく、自分から知らせる必要があるんですよね。
居場所と本人の状態を知らせる
- 住所や駐車場所
- 本人、家族、介助者の人数
- 健康状態
- 必要な介助や医療的ケア
- 薬、医療用品、電源の残量
- 自力で移動できるか
- 連絡先
避難所の外で支援を受ける第一歩は、「どこにいて、何が必要か」を知らせることだ。
在宅避難中の申告例
- 現在地:熊本市○区○町○丁目
- 本人:84歳・要介護4
- 状態:寝たきりで、一人では起き上がれません
- 現在の問題:断水で清拭と排せつ介助を続けられません
- 物資:おむつは残り1日分、薬は残り2日分です
- 移動:一般の自家用車には乗せられません
- 相談:必要な物資と安全に移れる避難先を相談したいです
住所だけでなく、建物名、駐車場所、車種なども伝えると見つけてもらいやすい。災害時の「近くにいます」は、意外と広いんですよね。
熊本市の指定車中泊避難場所
熊本市は、やむを得ず車中泊避難を行う人に対し、市が指定する車中泊避難場所の利用を勧めている。
指定場所では、調査票等による避難者情報の把握、健康観察、物資支援などが想定されている。
車中泊を続けられる一律の日数は決まっていない。
「まだ何日目だから大丈夫」と日数だけで判断せず、体調、気温、車内環境、介助者の疲労に問題が出た時点で別の避難先を求める。
車中泊で注意したい健康リスク
- エコノミークラス症候群
- 熱中症、脱水
- 低体温
- 一酸化炭素中毒
- 介助者の疲労
片脚の腫れ、急な息苦しさ、胸痛がある場合は救急へつなぐ。
物資を受け取れても、現在の車内や自宅で安全に生活できるとは限らない。
「水と食料を受け取れたから、もう支援は十分」とは限らないんですよね。環境を維持できないときは、物資支援と並行して別の避難先を求める。
移動手段がない・福祉避難所へ入れないときの対応
福祉避難所の受入れが決まっても、安全に移動できなければ避難は完了しない。
また、施設が未開設、満員、本人に必要な支援へ対応できないこともある。ここでは「行き先はあるのに移れない」「そもそも入れない」という二つの詰まりを整理していきますよ。
誰が移送するかは個別に調整される
熊本市では、市がすべての人を必ず迎えに来ると決まっているわけではない。
熊本市のマニュアルでは、移動手段として本人・家族、市、受入施設が挙げられている。
実際に誰が移送するかは、本人の状態、必要な車両、道路状況、受入施設の体制を踏まえて調整される。
家族だけで運べない人を、無理に一般車両へ乗せない。
「とにかく車へ乗せれば何とかなる」と焦る気持ちも分かる。けれど、無理な移乗で本人や家族がけがをすれば、状況はさらに厳しくなる。
必要な移送条件を具体化する
「移動できません」だけでは、必要な車両や介助人数が分かりにくい。
どの姿勢なら移動できるか、どんな機器を使うかまで見ていきますよ。
車いすから一般座席へ移れる場合
本人が一般座席へ安全に移乗できるなら、家族の車などで移動し、車いすを積載する方法が考えられる。
ただし、移乗に何人必要か、車内で姿勢を保てるかも確認する。
車いすを使っているからといって、全員が同じ方法で移動するわけではないんですよね。
福祉車両が必要な場合
車いすから降りられない人は、車いすのまま乗れる福祉車両が必要になる。
「車いす利用者です」だけで終わらせず、一般座席へ移れるかを伝える。
ストレッチャーが必要な場合
座った姿勢を保てず、横になったまま移動する必要がある人は、ストレッチャー対応の移送方法を相談する。
普通車の後部座席へ無理に寝かせる、という話ではない。安全に体を支えられる移送方法が必要だ。
医療機器を使用したまま移る場合
- 移動中も機器を連続使用するか
- 内部バッテリーは何時間持つか
- 予備バッテリーは何本あるか
- 移動中に吸引が必要か
- 機器を車内で固定できるか
- 受入先ですぐ電源へ接続できるか
計算するのは走行時間だけではない。
車両を待つ時間、本人を乗せる時間、受入先で電源へつなぐまでの時間も含める。
地図上では15分でも、準備と待機を含めれば1時間かかることもありますよね。バッテリーは、その1時間を基準に考える。
移送についての申告例
- 本人:86歳・要介護5
- 状態:寝たきりで、座った姿勢を保てません
- 移動:ストレッチャーでの移送が必要です
- 移乗:家族だけでは持ち上げられません
- 医療:在宅酸素を使用しています
- 残量:携帯用酸素は残り約5時間です
- 同行:普段の介助方法を知る娘1人が必要です
救急車を使うべき状態
救急車は、福祉避難所へ移るための送迎車ではない。
一方で、呼吸困難、意識異常、強い胸痛など緊急の治療が必要なら119番を優先する。
「福祉避難所へ行きたいから救急車」ではなく、「治療が必要だから救急車」と考えると分かりやすいですね。
緊急症状がなければ、市や避難所へ福祉的な移送方法を求める。
福祉避難所が満員・未開設の場合
「満員です」「まだ開いていません」と言われたら、行き場がなくなったように感じますよね。
でも、支援がそこで終わるわけではない。状況ごとに次の手を考えていきますよ。
| 状況 | 考えられる対応 |
|---|---|
| 未開設 | 現在の避難所で配慮を受けながら、開設や別の受入先を待つ |
| 受入可能人数に達した | 別の福祉避難所等を調整する |
| 必要な支援に対応できない | 緊急入所、医療機関などを検討する |
| 施設が被災 | 別施設または安全な待機場所へ切り替える |
待機中に求める配慮
- 簡易ベッド
- 静かな別室
- トイレに近い場所
- 医療機器の電源
- おむつ交換や処置の場所
- 授乳や搾乳の場所
福祉避難所が開くまで、何もない体育館で我慢する必要はない。
「福祉避難所へ移れないなら、今は何もできない」と考えなくていいんですよね。今いる場所で本人の安全を守ることも、避難支援の一部だ。
別の支援先の選び方
| 本人に必要な支援 | 検討される行き先 |
|---|---|
| 一般避難所内の環境調整で過ごせる | 福祉避難室・要配慮者スペース |
| 福祉的な配慮を受けながら生活できる | 別の福祉避難所 |
| 常時の専門的介護が必要 | 緊急入所・短期入所 |
| 治療や医学管理が必要 | 医療機関 |
| 個室やベッドで安全を確保できる | 調整可能なホテル・旅館等 |
福祉避難所が唯一の正解ではない。
本人が安全に過ごせるなら、一般避難所内の別室やホテル、医療機関が適することもある。行き先の名前より、必要な支援が確保できるかを見ますよ。
状態が変わったら再申告する
最初は一般避難所で過ごせると判断されても、本人や介助者の状態は変わる。
- 一人で歩けなくなった
- 食事や水分を取れなくなった
- 薬や医療用品が不足してきた
- 認知症や精神症状が悪化した
- 介助者が眠れず、介助を続けられない
一度相談したから、もう言ってはいけない。そんな決まりはない。
福祉避難所の空きを待って我慢せず、今の本人に必要な環境をその都度求める。
災害前に作る個別避難計画と持ち出し情報
福祉避難所の制度を知っていても、災害時に支援者へ連絡できず、本人を玄関から出せなければ避難は始まらない。
個別避難計画、支援情報シート、持ち出し袋。名前がいくつも出てきて、少し混乱しますよね。それぞれの役割を分けて、実際に動ける状態まで準備していきますよ。
個別避難計画・支援情報シート・持ち出し袋の違い
| 準備するもの | 役割 |
|---|---|
| 個別避難計画 | 誰が、いつ、どこへ、どう避難するかを決める |
| 支援情報シート | 本人の状態と必要な支援を避難先へ伝える |
| 持ち出し袋 | 避難中と避難先で必要な物を運ぶ |
計画は動き方、情報シートは伝え方、持ち出し袋は必要な物。こう分けると整理しやすいですね。
計画に入れる内容
- 本人の氏名、住所、連絡先
- 避難に支援が必要な理由
- 避難を支援する人
- 避難を始めるタイミング
- 避難先と代替避難先
- 避難経路
- 移動に必要な車両や介助人数
- 医療、介護、障害特性に関する情報
- 予定した方法を使えない場合の対応
計画を作っても、支援者による救助や送迎が必ず保証されるわけではない。
支援者自身が被災する、道路が通れない、避難先が開かない。災害時は、予定どおりにいかないことが予定どおり起きますよね。
第一候補と代替手段を決めておく。
災害ごとに避難開始の条件を決める
- 洪水時は高齢者等避難が出た段階で移動する
- 地震後は建物と避難経路の安全を確認する
- 停電が続き、医療機器の電源が不足する前に移る
- 台風接近前に親族宅などへ早期避難する
「危なくなったら避難する」では、移動に時間がかかる人は間に合わないことがある。
危なくなってから、車両を探して、荷物をまとめて、本人を移乗する。これでは時間が足りませんよね。
何を合図に、誰が連絡し、誰が車両を出すかまで決める。
本人の支援情報を一枚にまとめる
避難時の支援情報
- 病気、障害、要介護度
- 一人でできないこと
- 必要な介助と介助方法
- 意思疎通の方法
- 苦手な刺激と落ち着く方法
- 常用薬と服用時間
- 医療的ケアと機器の電源条件
- 食事形態とアレルギー
- 家族、主治医、支援者の連絡先
- 予定避難先と代替避難先
情報は多ければ多いほどいい、というわけでもない。
避難所の受付で短時間に読める一枚へ絞る。詳しい資料は別に持ち、最初に見せる情報は要点を優先すると伝わりやすいですよ。
持ち出し袋で優先するもの
- 常用薬とお薬手帳
- 医療機器と予備バッテリー
- 本人専用の医療・介護用品
- 補装具や意思疎通に必要な道具
- 食事制限に対応する食品
- 支援情報シートと連絡先
- 最低限の水、食料、衛生用品
あれもこれも入れたくなりますよね。
でも、荷物を増やしすぎると、本人を介助しながら運べなくなる。
命に関わる物、代替しにくい物、本人を説明する情報から優先する。
実際の経路で避難訓練をする
- 準備開始から出発まで何分かかるか
- 本人を玄関外へ安全に出せるか
- 必要な介助人数が足りるか
- 荷物と医療機器を同時に運べるか
- 車いすや福祉車両で避難経路を通れるか
- 予定避難先の入口と受付場所が分かるか
- 第一候補が使えない場合の経路を通れるか
個別避難計画の完成形は、記入済みの用紙ではない。
用紙を埋めると、少し安心しますよね。
でも、車いすで玄関を出られないなら、立派な計画書も玄関で足止めだ。
車いすで玄関を出られ、支援者へ連絡がつき、予定した車両へ乗り、代替経路まで通れる状態が完成形になる。
紙の上では通れる道でも、車いすでは段差を越えられないことがある。福祉車両が自宅前まで入れないこともある。
こういう地味な確認こそ、災害時に効いてくるんですよね。
福祉避難所についてよくある質問
対象者や避難手順を理解しても、申請書、同行者、ペット、送迎など細かな疑問は残りますよね。
ここでは、災害前や避難時に「結局どうなの?」と迷いやすい質問へ絞って答えていきますよ。
介護認定や障害者手帳がなくても相談できる?
一般避難所で安全に生活できない事情があれば相談できる。
手帳や認定は本人の状態を説明する資料にはなるが、相談の必須条件ではない。
福祉避難所へ直接行ってもよい?
自治体と施設によって異なる。
熊本市の一般的な福祉避難所は、市の確認と受入調整後に移るのが原則だ。
福祉子ども避難所など、条件に該当すれば直接避難できる仕組みもあるため、全部を一括りにしない。
福祉避難所へ入るための申請書はある?
専用申請書を提出すれば必ず入れるという全国一律の仕組みではない。
熊本市では、本人の状態確認と施設調整を経て受入れが決まる。
家族や介助者も一緒に入れる?
本人の支援に必要な家族や介助者を対象に含められる。
親族全員の受入れを保証する制度ではなく、必要な同行人数は個別に調整される。
ペットと同じ部屋で過ごせる?
一般のペットを同じ居住区画へ入れられるかは、施設ごとに異なる。
同行避難できることと、同室で生活できることは別だ。身体障害者補助犬は一般のペットとは扱いが異なる。

福祉避難所まで市が迎えに来る?
市による送迎がすべての人へ保証されているわけではない。
熊本市のマニュアルでは、本人・家族、市、受入施設が移動手段として挙げられており、実際の担当は個別に調整される。
一度対象外と言われたら再相談できない?
本人や介助者の状態が変われば再相談できる。
歩けなくなった、薬が切れそう、家族が介助を続けられないなどの変化を申告する。
一度の判断が、その後ずっと固定されるわけではない。状態が変わったら、もう一度伝えていいんですよ。
まとめ:対象か迷ったら「できないこと」を伝える
ここまで制度や手順を見てきたが、最後に覚えておきたいことはシンプルだ。
対象になるか自信がなくても、制度名を正確に言えなくても大丈夫。今できないこと、今のままだと危険なこと、必要な支援を伝えていきますよ。
福祉避難所は、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、医療的ケアが必要な人など、一般避難所で特別な配慮を必要とする人のための避難先だ。
年齢、病名、障害者手帳、介護認定だけで受入れは決まらない。
熊本市の一般的な福祉避難所は、市の確認と受入調整後に移るのが原則だ。
対象になるか迷ったら、受付で次の3点を申告する。
- 一人ではできないこと
- 現在の環境で続けると危険なこと
- 安全に過ごすために必要な支援
「認知症です」ではなく、「一人にすると外へ出るため、見守りが必要です」と伝える。
「車いすです」ではなく、「車いすから一般座席へ移れず、車いすのまま乗れる車両が必要です」と伝える。
「医療機器を使っています」ではなく、「吸引器を2時間ごとに使い、バッテリーは残り4時間です」と伝える。
ここまで具体化できると、支援する側も次の手を選びやすくなりますよね。
自宅避難や車中泊をしている場合も、現在地、本人の状態、移動できるか、連絡先を市や最寄りの避難所へ知らせる。
福祉避難所が未開設・満員なら、福祉避難室、別の福祉避難所、医療機関、緊急入所などへ支援先を切り替える。
福祉避難所へ入ること自体が目的ではない。本人と家族が安全に過ごせる環境へつながることが目的だ。
制度名が分からなくても、対象か自信がなくても構わない。
まず、今できないことを言葉にする。
そこから支援の調整が始まりますよ。
