資料確認日:2026年11月5日
本記事の2026年の台風発生・接近・上陸数は、気象庁が公表した10月28日時点の速報値です。確定値ではないため、後日修正される場合があります。最新の進路や警報を扱う記事ではありません。
2026年は台風が31個に達し、年間31個以上となるのは2013年以来13年ぶりとなりました。平年の年間発生数は25.1個ですから、確かに多い年といえます。
それでは、なぜ2026年は台風が多かったのでしょうか。気象庁は、夏の多発には「偏東風波動」という大気の乱れが活発だったことが一因と分析し、顕著なエルニーニョ現象が影響した可能性も指摘しています。ただし、この説明で年間31個すべての原因が分かったわけではありません。
過去の発生記録から2026年の珍しさを確かめたうえで、気象庁が解明したことと、まだ断定できないことを整理します。発生数の多さと地球温暖化、日本への影響は同じ問題なのでしょうか。
台風31号は13年ぶり!2026年の発生数はどれほど多い?
31個という数字の意味は、過去の年間発生数と比べると分かりやすくなります。珍しい年ではありますが、史上初の記録というわけではありません。
2026年は10月28日時点で31個、年間平年値は25.1個
気象庁の統計では、2026年の発生数は10月28日時点で31個。1991〜2020年の年間平年値25.1個を5.9個、割合では約23.5%上回っています。
ただし、2026年の数字は10月28日までの累計、平年値は12月まで含む年間平均です。「10月末までの平年累計より23.5%多い」という比較ではありません。統計を読むときには、数字だけでなく集計期間にも目を向けたいですね。
過去最多は1967年の39個|31号到達は史上初ではない
気象庁の1951〜2025年の確定記録で年間最多は1967年の39個。次いで1971年と1994年の36個です。2013年は31個で、それ以降2025年まで31個以上となった年はありませんでした。
| 年 | 発生数 | 記録の位置づけ |
|---|---|---|
| 1967年 | 39個 | 1951年以降の最多 |
| 1971年・1994年 | 36個 | 2位タイ |
| 2013年 | 31個 | 2026年より前の直近の31個以上 |
| 2026年 | 31個 | 10月28日時点の速報値 |
1951〜2025年の75年間に、年間31個以上だった年は13回あります。2026年は同じ水準に達した14例目に当たります。
年ごとのばらつきが大きいことも、この記録から読み取れます。31個は確かに目を引きますが、「かつてない数」と受け取るのは正しくありません。
ここから次に確認したいのは、2026年のどの時期に発生数が増えたのか、という点です。
2026年はなぜ台風が多かった?気象庁が分析した3つの気象現象
気象庁が2026年9月1日に公表したのは、主に6〜8月の台風多発に関する分析です。ここでは、夏の発生数と、偏東風波動・エルニーニョ現象・モンスーンジャイアの役割を分けて見ていきます。
夏の発生数は17個、8月だけで10個
2026年6〜8月の発生数は17個。夏季の平年値11.0個を6個上回り、1951年以降で3位タイの多さでした。気象庁の協定世界時(UTC)基準の月別集計では、6月2個、7月5個、8月10個です。
つまり、10月までの累計31個のうち、17個が夏に発生しています。特に8月の10個が目立ちます。年間の発生数が多くなった背景を考えるうえで、夏の大気の流れが重要なのです。
なお、月別の統計は日付の区切りにUTCを用いています。日本時間を基準にすると、月末・月初に発生した台風の所属月が変わる場合があるため、複数の統計を比較するときは基準を揃えます。
偏東風波動の活発化が台風発生を促した
偏東風波動(へんとうふうはどう)は、熱帯域の東寄りの風の中を伝わる波状の大気の乱れです。上昇気流や積乱雲が発達しやすい環境をつくり、熱帯低気圧の発生に結びつく場合があります。
気象庁は2026年7〜8月、この活動が活発だったことを夏の台風発生数が多かった主な要因として挙げました。海が暖かいだけでなく、雲を発達させる大気の動きが重要だったわけです。
顕著なエルニーニョ現象も影響した可能性
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が平年より高い状態が続く現象です。大気循環にも影響を与えます。
気象庁の分析では、エルニーニョ現象が発生している夏は偏東風波動が活発になる傾向があり、2026年の顕著なエルニーニョ現象も多発に影響した可能性があるとしています。
ここは「原因と確定した」わけではない点が大切です。
モンスーンジャイアはどのように関係した?
モンスーンジャイアは、アジアモンスーンに伴う西風などが関係して形成される、広い範囲の低気圧性循環です。2026年8月前半には日本の南海上で形成・維持され、その周辺で発生した台風もありました。
ただし、気象庁の発表では、モンスーンジャイアは台風第15号の特殊な進路や千葉県の豪雨にも関係する現象として説明されています。年間31個の主原因として認定されたわけではありません。
偏東風波動と同列に、年間全体の原因として数えるのは避ける必要があります。
台風31個の原因はすべて分かっている?気象庁の分析で分かること・分からないこと
夏の多発に有力な説明があることと、年間31個の発生要因がすべて解明されたことは別です。公式分析が扱った期間と確実性を確認します。
夏の多発要因と年間31個の原因は分けて考える
9月1日の気象庁の発表は、6〜8月の台風活動を対象にしたものです。9月以降も含めた2026年の年間31個について、各月の増加要因をすべて説明した資料ではありません。
また、偏東風波動の活発化は主な要因として挙げられていますが、エルニーニョ現象の影響は「可能性」の評価です。確かな観測事実、要因分析、まだ検証が必要な仮説を区別して読む必要があります。
海水温だけで台風の発生数は決まらない
海面水温も台風発生の重要な条件です。気象庁によると、一般に台風は海面水温26〜27℃程度の海域で発生するとされていますが、それだけで発生や発達が決まるわけではありません。
風の集まり方や大気の状態、積乱雲が発達する条件も関係します。2026年に31個に達した理由を「海水温が高かったから」と一言で片づけると、実際の気象現象を見誤ってしまいます。
このように、2026年夏には発生を促した大気条件が確認されました。一方で、年間31個という数字へのそれぞれの寄与を、今回確認した公式資料だけから定量的に示すことはできません。
「夏の発生数が多かった」という観測結果と「その主な要因は何か」という分析は、同じ確実さの情報ではありません。調査資料の発表日や対象期間も含めて確認すると、説明の及ぶ範囲が明確になります。
台風の発生数が多いのは地球温暖化の影響?
2026年のように台風が多い年を見ると、温暖化との関係が気になります。しかし、一年の出来事と何十年にもわたる気候変化は、同じ方法では判断できません。
1951年以降の発生数に明瞭な長期増加傾向はない
気象庁の『気候変動監視レポート2025』および『日本の気候変動2025』では、1951年以降の台風発生数について、明瞭な長期変化傾向は確認されていません。
台風の発生数は年による変動が大きく、ある一年だけ多くなっても、それを長期的な増加の証拠とはできません。一方で、増加傾向が確認されていないことは、温暖化による影響がまったくないことの証明でもありません。
台風の数と強さ・降水量は別の問題
台風の「数」と「強さ」を分けると、研究から得られる結論も変わります。『日本の気候変動2025』では、北西太平洋で1980年代半ば以降、強い熱帯低気圧の発生数が増えたとする評価を紹介しています。ただし、観測や解析の不確実性もあり、十分に評価できていない部分が残ります。
将来予測では、世界全体で非常に強い熱帯低気圧の割合が増えると見込まれています。また日本付近では、個々の台風の強度や降水量が増すと予測されています。これは「毎年の台風発生数が必ず増える」という意味ではありません。
また、世界全体の熱帯低気圧に関する予測と、日本付近の台風に関する予測では、対象地域や評価の確信度にも違いがあります。
「台風の数が増える」「猛烈な台風の割合が増える」「個々の台風がもたらす雨が増える」は、似ているようで別の指標です。ニュースの見出しで混同しないようにしたいところです。
2026年の31個という記録は気象活動を考える重要な手掛かりですが、それ自体を温暖化の直接的な証拠とすることはできないのです。
地球温暖化によって台風の発生数や勢力がどのように変化すると考えられているのかについては、2026年の台風シーズンと気候変動の関係を解説した記事でも詳しく取り上げています。
台風が31個発生すると日本への影響も大きくなる?
台風の発生数が多くても、そのすべてが日本に近づくわけではありません。気象庁は「発生」「接近」「上陸」を別々の基準で集計しています。
2026年の発生31個・接近12個・上陸3個を比較
2026年10月28日時点の速報値と、1991〜2020年の年間平年値を並べると次のとおりです。
| 区分 | 2026年10月28日時点 | 年間平年値 |
|---|---|---|
| 発生 | 31個 | 25.1個 |
| 全国への接近 | 12個 | 11.7個 |
| 上陸 | 3個 | 3.0個 |
台風の発生とは、北西太平洋や南シナ海で熱帯低気圧の最大風速が約17m/s以上となり、台風の基準に達することです。接近は中心が国内の気象官署等から300km以内に入ること、上陸は中心が北海道・本州・四国・九州の海岸線に達することを指します。
上陸した台風は接近数にも含まれるため、3つの数を足し合わせることはできません。また2026年は年途中の累計、平年値は年間平均です。比較する期間が異なる点にも注意が必要です。
台風の数だけで災害の危険性は判断できない
発生数が年間平年値を上回っていても、日本への接近や上陸が同じ割合で増えるとは限りません。さらに被害の大きさには、進路や勢力だけでなく、雨量、地形、高潮など多くの条件が関係します。
たとえば台風の中心気圧が低いと、非常に強い台風だと感じますよね。しかし、中心気圧だけで実際の風や雨、高潮の被害を判断できるわけではありません。
中心気圧900hPaという数字がどの程度の強さを意味するのかについては、台風30号の900hPaを過去の強い台風と比較した記事で詳しく解説しています。
また、上陸しなくても大雨や高波の被害が起きる場合があります。「今年は台風が多い」と「自分の地域で今どのような危険があるか」は別に確かめたい情報ですね。
災害リスクを判断するときは、台風の発生数だけでなく、地域ごとの気象警報や避難情報を確認する必要があります。
台風が近づく前に何を準備しておけばよいのか、家の周囲の安全確認から備蓄、避難準備まで、実践的なチェックリストを別記事にまとめています。

台風31号についてよくある疑問
台風31号は何年ぶり?
2026年に年間31個へ達したのは、2013年以来13年ぶりです。2026年の数値は10月28日時点の速報値です。
11月や12月にも台風は発生する?
はい。気象庁の平年値では11月は2.2個、12月は1.0個です。冬に発生することもありますが、発生した台風が必ず日本へ接近するわけではありません。
台風31号の次は32号になる?
2026年中に次の台風が発生すれば第32号になります。台風の番号は毎年1月1日以降に発生した順に付けるため、2027年最初の台風は第1号です。
番号とは別のアジア名は、年が変わっても決められた順番で使われます。
まとめ|2026年の台風多発から分かること
2026年は10月28日時点で台風が31個に達し、13年ぶりに発生数の多い年となりました。気象庁の分析からは、特に夏の多発に大気の流れが関係していたことが分かります。
一方、年間31個すべての原因が解明されたわけではなく、この数字だけで温暖化の影響や日本の災害リスクの増加を断定することもできません。
台風情報を見るときは、「何個発生したか」に加え、「いつまでの集計か」「強さや日本への影響とは別の数字か」を確かめる。それだけでも、ニュースの数字から読み取れることがはっきりしてきます。
◯おすすめ記事
参考リンク・参考資料
本記事は気象庁の一次資料を基に作成しています。記事中の2026年の台風統計は10月28日時点の速報値です。
- 気象庁|台風の発生数(UTC基準):2026年の月別・累計発生数
- 気象庁|年間発生数ランキング:過去の最多記録と31個以上の年
- 気象庁|台風の平年値:年間・月別発生数、接近数、上陸数
- 気象庁|令和8年夏の異常気象分析検討会の結果:夏季の多発要因
- 気象庁|日本の気候変動2025・熱帯低気圧:観測と将来予測
- 気象庁|気候変動監視レポート:発生数の長期変動
- 気象庁|全国への台風接近数
- 気象庁|台風の上陸数
- 気象庁|台風の発生、接近、上陸、経路
- 気象庁|台風の番号とアジア名の付け方
- 気象庁|海洋についてのFAQ:海面水温と台風の発生条件
資料確認日:2026年11月5日。速報値は後日修正される場合があります。

