ツツガムシ病という虫から感染する病気があります。
最悪の場合命に関わる怖い病気でもあります。
今年初で青森県で犠牲者が出たというニュースもありました。
実はツツガムシ病(つつが虫病)は大昔からあるもので、かの聖徳太子の時代にも悩まされた病気という話もありますよ。
ツツガムシ病は聖徳太子の時代にも悩まされていた!?
これは一説ですが、かの有名な聖徳太子が遣隋使である小野妹子に持たせた手紙に記述されていたということです。
「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。恙なきや。」
この手紙に中国の皇帝が激怒したという逸話がありますが、この分の最後の「恙なきや。(つつがなきや)」が「お元気ですか?」や「お変わり無いですか?」という相手方の平穏を願う挨拶とされていましたが、実はこの「恙なきや。」というのは「中国ではツツガムシ病が猛威を振るっていませんか?大丈夫ですか?」という意味だったというのです。
当時日本ではツツガムシ病が流行しており、庶民では被害者が出ていたというのです。
それで相手国を心配して「そちらの国ではツツガムシ病に悩まされていませんか?」という相手を慮った挨拶だったというのです。
「つつが(虫病は)無きや(ないですか?)」ということだったという説があるんですって!
ツツガムシ病は現代日本でも脅威の病気
ツツガムシ病は現代日本でも稀に死亡者が出る大変な病気です。
↓は2023年6月26日の記事です。
青森県は26日、青森市の80代女性がつつが虫病にかかり、13日に市内の医療機関で死亡したと発表した。県内のつつが虫病による死亡は今年初めて。 県保健衛生課によると、女性は今月上旬に発熱や発疹などの症状が出て、8日に医療機関に入院していた。
↓は2023年5月27日の記事です。
宮城県は26日、県内の80代女性がつつが虫病に感染し、県内で今年初となる発生届が医療機関から大崎保健所に出されたと発表した。女性は頭痛や発熱の症状が出て25日に診断を受けた。入院中で回復傾向という。
引用:つつが虫病感染、宮城県内で今年初めて確認 大崎の80代女性、県が注意呼びかけ | 河北新報オンライン (kahoku.news)
↓は2022年5月2日の記事です。
宮城県は2日、県内の50代男性がつつが虫病に感染したと発表した。県内での感染確認は今年初めて。男性は4月下旬に発熱や発疹、全身倦怠(けんたい)感の症状が出て28日に診断を受けた。自宅療養中で回復傾向という。
宮城県の記事が多いでしょうか。
気候変動で6月なのに30度近いという気温でツツガムシも活発になっているのでしょうか?
実は平安時代も温暖な気候だったと言います。
京都や奈良でマラリアが流行しているほどでした。
794年に平安京に遷都した平安時代は、中世温暖期と呼ばれる安定した暖かい気候でしたが、一時的な寒冷化も起きました。この時代の太陽活動は現在よりも活発だったことが、屋久杉の年輪に沿った炭素同位体の分析から、宮原らによって明らかにされています。
平安時代には、高い農業生産力に支えられて『源氏物語』や『枕草子』に代表されるように華やかな王朝貴族文化が花開きました。また気温が高かったのでマラリアが流行していて、藤原定家や道長が感染し、「熱し、熱し」と言って死んだ平清盛も犠牲になったと言われています。(参照)石井和子著『平安の気象予報士 紫式部』(講談社 2002年)引用:日本の気温推移と異常気象 – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute (ieei.or.jp)
ツツガムシ病の症状は?
ツツガムシに刺されると、5~14日後に病気になることがあります。
病気の症状は、全身のだるさや食欲不振のほかに、頭痛や寒気、発熱などが出ます。
熱は段々と上がり、数日で40℃まで上がることもあります。
ツツガムシに刺された場所は、体の柔らかい場所が多いです。刺された場所の周りのリンパ節も、発熱する前から腫れることがあります。
3~4日目には、顔や体の中心に発疹が出ることもありますが、四肢には少ないです。
テトラサイクリン系の薬で治療すると、症状が劇的に改善されることがあります。
重症になると、肺や脳の炎症が起こることもあります。
この病気は、北海道や沖縄を除いて全国で見られます。発生する時期は、春から初夏や晩秋から冬で、ツツガムシが生息する場所によって異なります。
ツツガムシ病の症状を箇条書きでまとめますと次のとおりです。
- 5~14日程度の潜伏期間を経た後に、倦怠感、頭痛、39℃以上の高熱などの症状が現れます。
- 発熱後3~4日で体幹部から四肢に発疹が広がっていきます。
- ツツガムシに刺されることによって感染しますが、ツツガムシの刺し口が残っているのも特徴です。
- 刺し口は直径1cmほどで黒いかさぶたのような形状をしており、このような刺し口・発熱・皮疹をツツガムシ病の“主要三徴候”と呼びます 。
ツツガムシ病の予防方法は?
ツツガムシ病の予防方法は、ツツガムシに刺されないことが唯一の予防法になります。
畑や草むらに入る時は、長袖長ズボン、手袋、長靴などを着用し、肌の露出を少なくすることが大切です 。
また、ツツガムシ病の原因となるツツガムシはダニの一種は、日本の山林や田畑に幅広く生息しているため、殺虫剤などを屋外に散布して予防する方法は適切ではありません 。
またツツガムシに刺されても入浴して洗い流すことで感染を防げる場合もあるようです。
ツツガムシに刺された場合でも、オリエンティア・ツツガムシが人にうつるまでには少なくとも6時間以上必要とされています。そのため、刺された可能性がある場合は、ツツガムシが肌に吸着していないことを確認し、入浴して洗い流すことが推奨されています。
ツツガムシ病の治療方法は?
ツツガムシ病の治療はテトラサイクリン系の抗生物質で行います。
発病疑いの時から入院治療が必要な場合があるので、虫刺され後発熱が起きた場合は、病院に行き、虫に刺されていたこともしっかりと医師に相談してください。
潜伏期間が10~14日と言われているので虫刺されとは期間が空きますので関係ないと思ってしまう人も多いです。
お子さんでも草むらに入ったり自然の中で遊んだ数日後に発熱した場合は身体に虫刺されが無いか確認し、虫刺され痕があった場合は医師にその旨も伝えて診察を受けるのがよいですね。
ガーデニングや山菜採りなどでもダニに刺される可能性はありますので、帰宅後すぐにお風呂に入ってしっかりと身体を洗うことも大事です。
潜伏期間が比較的長いので虫刺されとの関係を疑うことができず、発熱からただの風邪と思い治療が遅れるケースがありますので、気をつけてください。