https://chitama.toku-mo.com/2026/08/9522/2026年9月6日、インドネシアで少なくとも4つの火山が相次いで噴火しました。
名前を並べると、アナク・クラカタウ、イブ、イリ・レウォトロク、セメル。火山を普段あまり追っていなくても、クラカタウやセメルあたりは聞き覚えがあるかもしれません。
そして「1日に4火山」と聞けば、さすがに気になりますよね。
ひとつの火山が噴いたというニュースとは、受ける印象がまるで違います。環太平洋火山帯そのものが急に活発化したのか、地下で何か連鎖しているのか、日本の火山や地震にもつながるのか。数字だけを見ると、いろいろ想像したくなる状況ではあります。
ただ、ここは火山ニュースで一番慎重になりたいところ。
確認されているのは、4つの火山で近い時間帯に噴火が起きたこと。4火山が一つの原因で連鎖的に噴火した、と確認されたわけではありません。
しかも今回の4火山、すべてが9月6日に突然活動を始めたわけでもありません。
以前から活発だった火山が含まれるうえ、アナク・クラカタウでは前日からかなり目立つ活動が続いていました。このあたりを分けて見ていくと、「4火山同時噴火」という強烈な見出しから受ける印象と、実際に観測されている現象との距離が少し見えてきます。
まずは余計な推測を入れず、9月6日の朝に何が起きていたのかから整理してみます。

インドネシアで4火山が相次いで噴火、何が起きていた?
9月6日の朝、インドネシア各地にある複数の火山で相次いで噴火が確認されました。
現地時間9時の時点で噴火が報告されていたのが、アナク・クラカタウ、イブ、イリ・レウォトロク、セメルの4火山です。
CNN Indonesiaも当日の状況を、次のように報じています。
Hingga Minggu (6/9) pukul 09.00 WIB, setidaknya ada empat gunung api di Indonesia yang erupsi bersamaan.
引用元:CNN Indonesia(2026年9月6日)
日本語にすると、「9月6日午前9時までに、インドネシアでは少なくとも4つの火山が噴火していた」という内容になります。
この「少なくとも4つ」という数字は、SNSだけで膨らんだ話ではありません。
噴火したのはアナク・クラカタウ、イブ、イリ・レウォトロク、セメル
| 火山 | 9月6日前後の状況 | 見ておきたい点 |
|---|---|---|
| アナク・クラカタウ | 9月4日夜から長時間にわたる連続的な噴火活動が続いた | 今回もっとも社会的影響が大きい火山 |
| イブ | 9月6日朝にも噴火を確認 | 以前から噴火活動が続いている活発な火山 |
| イリ・レウォトロク | 9月6日前後にも複数回の噴火を確認 | 今回だけ突然噴き始めたわけではない |
| セメル | 9月6日朝に噴火を確認 | インドネシアでも活動の活発な火山のひとつ |
こうして見ると、少し印象が変わってきませんか。
「9月6日の朝、眠っていた4火山が突然一斉に目を覚ました」という状況ではなく、もともと活動していた火山を含め、複数の火山で近い時間帯に噴火が確認されたという方が実態に近くなります。
ニュースではどうしても「4火山が噴火」という数字が目に飛び込んできますが、火山活動は一回の爆発だけを切り取って見るとかなり印象が変わります。
直前までどんな地震活動があったのか、噴火が継続していたのか、噴煙だけなのか、溶岩や噴石を伴うのか。それぞれの火山には、それぞれ別の時間軸があります。
「4火山が同時噴火」という表現は少し注意したい
今回のニュースでは「4火山が同時に噴火」という表現も見かけます。
インパクトはかなりありますし、同じ朝に複数の噴火が確認されたという意味なら、感覚的には分からなくもありません。
ただ、4つの火山がまったく同じ時刻に、一斉にドンと噴火したわけではありません。
さらに、4火山は同じ山域に並んでいるわけでもなく、それぞれ離れた場所にあります。
なのでこの記事では、基本的に「4火山が同じ朝に相次いで噴火した」と表現します。
この違い、言葉だけを見ると細かく感じるかもしれません。でも火山の話ではかなり重要です。
火山Aが噴いた。数時間後に遠く離れた火山Bも噴いた。
この二つが確認できても、それだけでは「AがBを噴火させた」とは言えません。
4火山は「連鎖噴火」したのか
同じ朝に4つの火山が相次いで噴いたとなれば、「さすがに偶然ではないのでは?」と考えたくなりますよね。
地下深くで何か大きな変化が起きて、それがインドネシア各地の火山へ一気に伝わった。そんな絵を想像すると、かなり怖い話に見えてきます。
ただ、火山はここを勢いだけでつなげると一気に話がおかしくなります。
今のところ、今回の4火山について「一つの噴火が別の火山を次々に噴火させた」と考えられる証拠は確認されていません。
数百km離れた火山を一つの噴火が誘発する証拠は確認されていない
この疑問について、かなりストレートに説明しているのが米国地質調査所(USGS)です。
There is no definitive evidence that an eruption at one volcano can trigger an eruption at a volcano that’s hundreds of kilometers away.
引用元:U.S. Geological Survey
要するに、数百kmも離れた火山で「こちらが噴いたから、あちらも噴いた」と言える決定的な証拠はないという話です。
噴火の時刻だけを横に並べると、どうしても全部が一つのイベントに見えてきます。
でも実際の火山では、噴火前に起きる火山性地震、地殻変動、火山ガス、マグマの上昇といった準備期間がそれぞれ違います。
表面に噴火が現れた時刻が近かったとしても、その火山内部では数日前、数週間前、場合によってはもっと長い時間をかけて別々の変化が進んでいた可能性があります。
ただし「火山同士は絶対に影響しない」も言いすぎ
一方で、ここを「火山は全部独立しているから、絶対に影響し合わない」と言い切るのも違います。
USGSによると、およそ10kmほどの近距離にある火山や火口では、ほぼ同じ時期に活動した歴史的な例があります。
特に同じマグマだまりを共有していたり、一つの大きな火山複合体に属していたりする場合は、地下で起きたマグマ移動が複数の場所へ影響することがあります。
逆に、山体が近くても別々のマグマ供給系を持つ火山もあります。
距離が近いだけでも足りない。噴火時刻が近いだけなら、なおさら足りない。
インドネシア側も、それぞれ別の火山活動として説明
2026年8月末にも、インドネシアでは複数の火山が同じ日に噴火していました。
PVMBGはその際、それぞれの活動は独立した火山活動で、一つの噴火が別の火山を誘発しているわけではないと説明しています。
Kalau bahasa sederhananya dapurnya itu masing-masing, dapurnya itu sendiri-sendiri.
引用元:PVMBGの説明を報じたKatadata
かなり意訳すると、「簡単に言えば、それぞれの火山にはそれぞれ別の“台所”がある」という意味です。
この“台所”がマグマだまりですね。
インドネシアという巨大な地下空間に一つのマグマタンクがあり、そこからクラカタウ、セメル、イブへ一本の配管が伸びているわけではありません。
今回9月6日に活動した4火山についても、それぞれが以前から独自の活動を続けています。
そのため現時点では、「インドネシア全体で巨大な連鎖噴火が始まった」より、それぞれの活火山で進んでいた活動が近い時期に表面化したと見る方が、確認できる情報には合っています。
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今回もっとも影響が大きいアナク・クラカタウ
4火山の噴火をひとまとめにして見るより、今回の状況を理解するうえで先に押さえておきたい火山があります。
アナク・クラカタウです。
クラカタウと聞けば、1883年の巨大噴火や2018年の津波を思い浮かべる人もいるはず。
ただ、今回まず注目したいのは過去のイメージではなく、2026年9月に実際に観測された活動です。
PVMBGの公式発表を見ると、アナク・クラカタウでは9月4日23時07分から9月6日0時04分まで、約25時間にわたって連続的な噴火活動が記録されています。
約25時間続いた連続噴火
PVMBGトップは、観測機器の記録について次のように説明しています。
episode gempa erupsi menerus mulai terekam sejak Jumat, 4 September 2026 pukul 23.07 WIB
引用元:インドネシア・エネルギー鉱物資源省(ESDM)/PVMBG
直訳すると、「連続噴火に伴う地震活動は9月4日23時07分から記録され始めた」という内容です。
夜間のCCTVでは赤く光る噴火が目立ち、日中には黒っぽい噴煙が上昇する様子も確認されています。
さらに9月5日には、Badan Geologiが溶岩噴泉に似た現象として報告していました。
単に「噴煙が上がった」という話ではなく、マグマそのものがかなり活発に火口まで上がってきていたことが観測記録にも出ています。
一方で、噴火のエネルギーを示すRSAMは9月5日に上昇したあと、9月6日には低下傾向へ転じました。
ただし、PVMBGの評価は「これで終わった」というものではありません。
連続噴火が止まってもLevel III「Siaga」はそのまま
アナク・クラカタウの活動レベルは、現在もLevel III「Siaga」。
インドネシアの火山警戒レベルは4段階なので、上から2番目にあたります。
PVMBGは、連続噴火が終了したあとも火山活動は続いており、追加噴火の可能性は依然として高いと評価しています。
- 高温の火山弾や噴石
- 大量の降灰
- 連続噴火が再開した場合の溶岩流
そのため住民や観光客には、活動中心から半径3km以内へ立ち入らないよう勧告が続いています。
「25時間の連続噴火が終わった」と「アナク・クラカタウの活動が終わった」は、まったく別の話。
今回「ヤバい」が現実になったのは、むしろ火山灰のほう
火山好きとしては溶岩噴泉やストロンボリ式噴火にどうしても目が行くんですが、今回、一般の生活へ直接ぶつかってきたのは火山灰でした。
火山灰が航空路へ広がったことで、インドネシア運輸省は9月6日、スカルノ・ハッタ国際空港を含む複数空港を一時閉鎖しています。
- スカルノ・ハッタ国際空港
- ハリム・ペルダナクスマ空港
- ラディン・インテンII空港
- フセイン・サストラネガラ空港
- ブディアルト空港
- ポンドック・チャベ空港
- タウフィク・キエマス空港
- アトゥン・ブンス空港
運輸省が9月6日に公表した途中集計では、約15万人の乗客と467便が影響を受けています。
さらに同日17時時点の監視結果を受け、8空港の一時閉鎖は24時まで延長されました。
kami tidak akan memaksakan bandara tersebut dibuka atau pengoperasian pesawat dilakukan
引用元:インドネシア運輸省(2026年9月6日)
要するに、「安全を確認できない状態で空港や航空機の運航を無理に再開しない」ということです。
火山灰は普通の煙とは違って、細かな岩石や鉱物、火山ガラスなどを含みます。航空機が大量に吸い込めばエンジンへ深刻な影響を与える可能性があります。
今回警戒したいのは「4という数字」そのものではなく、一つひとつの火山で実際に何が起き、どこまで影響が広がっているか。
アナク・クラカタウで2018年のような津波は起きている?
アナク・クラカタウの噴火と聞いて、どうしても気になるのが津波です。
2018年12月、アナク・クラカタウでは大規模な山体崩壊が発生し、それに伴う津波がスンダ海峡沿岸を襲いました。
今回も同じ火山が活発に噴火しているとなれば、「また山が崩れて津波になるのでは」と考えるのは自然ですよね。
ただ、2026年9月6日までの観測を見る限り、今回の噴火に伴って津波が発生していることを示す海面異常は確認されていません。
2018年の津波は「噴火したから」だけでは説明できない
2018年の津波では、火山体の一部が大規模に崩壊し、大量の物質が海へ流れ込んだことが津波発生の重要な要因になりました。
the 2018 collapse of Anak Krakatau (Indonesia) that resulted in ~440 deaths
引用元:U.S. Geological Survey
つまり、ここで見落としたくないのは「噴火」と「津波」の間に山体崩壊という重要な現象があることです。
海に囲まれた火山島では、山体の一部が大規模に崩れれば、その体積によって海水が一気に押しのけられ、津波につながる場合があります。
今回は20カ所の津波観測センサーで海面異常を確認せず
BMKGはアナク・クラカタウの活動を受け、スンダ海峡周辺で24時間の監視を強化しています。
2026年9月6日7時までに20カ所の津波ゲージを確認したところ、津波を示す海面の異常は観測されませんでした。
tidak menunjukkan adanya anomali muka laut yang mengindikasikan terjadinya tsunami
引用元:BMKG(2026年9月6日)
日本語にすると、「津波の発生を示す海面異常は確認されていない」という内容です。
BMKGは潮位計だけでなく、CaritaとTanjung Lesungに設置したHFレーダーも使い、海面の状態を解析しています。
「津波が起きていない」と「今後も絶対に起きない」は分けたい
正確に言えるのは、9月6日7時30分までの多センサー観測で、今回の噴火に関連する津波を示す海面異常が確認されていない、というところまでです。
火山そのものは活動を続けています。
そのため、「今回の噴火では絶対に津波は起きない」と未来まで保証する書き方はできません。
2018年の経験があるから警戒は必要。でも、2018年と同じことがすでに始まっているかのように怖がる必要もない。
観測されている事実を追っていくのが一番確実です。
今回の噴火で日本への影響はある?
インドネシアでこれだけ大きな火山活動が起きると、次に気になるのはやっぱり日本ですよね。
ここで先に結論を出しておくと、今回のクラカタウ火山の大規模噴火について、気象庁は最終的に日本への津波の影響はないと判断しています。
気象庁は当初、日本への津波影響を調査していた
気象庁が対象にしたのは、2026年9月5日2時50分ごろ、日本時間で発生したクラカタウ火山の大規模噴火です。
ダーウィン航空路火山灰情報センターの情報では、噴煙高度は約50,000フィート、約15,000m。
気象庁は6時の第1報で、次のように発表しています。
日本への津波の有無については現在調査中です。
引用元:気象庁「令和8年9月5日02時50分頃のクラカタウ火山(インドネシア)の大規模噴火について」
大規模な火山噴火では、急激な気圧変化によって海面変動が生じることがあります。
そのため気象庁は今回も、噴火に伴う気圧波が伝わった場合を想定して監視していました。
8時30分時点でも有意な潮位変化は観測されず
気象庁が9時に出した第2報では、5日8時30分までに海外・国内の観測点で、今回の噴火に伴うと考えられる有意な潮位変化は観測されていないと発表しています。
海外および国内の観測点で、この噴火に伴うと考えられる有意な潮位変化は観測されていません。
引用元:気象庁「クラカタウ火山の大規模噴火について(第2報)」
| 時点 | 気象庁の判断 |
|---|---|
| 9月5日6時ごろ | 日本への津波影響を調査中 |
| 9月5日8時30分時点 | 国内外で有意な潮位変化を確認せず |
| その後 | 今回の噴火による日本への津波影響はないと判断 |
今回の噴火を南海トラフ地震の前兆とする根拠はない
津波が大丈夫となると、次に出てきやすいのが「環太平洋火山帯が動いているなら、南海トラフも危ないのでは」という話です。
ただ、今回のインドネシア4火山の噴火を、南海トラフ地震の前兆と判断できる科学的根拠は確認されていません。
地震と火山活動が条件次第で影響し合うこと自体はあります。
USGSによると、マグニチュード6を超えるような大きな地震が、近くにある火山へ影響を与えたと考えられる例はあります。
ただし、その火山が噴火へ至るには、噴火可能なマグマが十分存在し、マグマの貯留域に高い圧力がかかっているといった条件が必要です。
富士山も「次に噴く火山」とは言えない
同じ理由で、富士山についても今回の噴火から「次は日本」「次は富士山」と予測することはできません。
「同じ環太平洋火山帯にある」ことと、「片方が噴けばもう片方も噴く」ことはまったく別です。
富士山の噴火可能性を見るなら、富士山そのものの火山性地震、地殻変動、噴気、地下の状態といった観測データを見る必要があります。
「太陽活動」「地球寒冷化」など広がる説を検証
大きな噴火が短い期間に重なると、SNSや掲示板では別の巨大現象と結びつけたくなるんですよね。
今回も、「太陽活動が活発だったから火山が噴いたのでは」「地磁気の乱れと関係しているのでは」「このまま火山灰で地球が寒冷化するのでは」といった話が出ています。
今回調べた限り、2026年9月のインドネシア4火山噴火を、太陽活動や地磁気の変化が引き起こしたと判断できる証拠は確認できませんでした。
太陽活動と火山噴火の「相関」を調べた研究はある
太陽活動と火山噴火の関係については、過去に科学研究の対象になっています。
長期間の噴火記録と太陽活動の周期について、弱い統計的な相関を報告した研究もあります。
ただ、それは「強い太陽フレアが起きた数時間後に火山が噴く」といった直接的な予測法を実証したものではありません。
相関が報告されたことと、太陽活動が火山噴火を直接引き起こすメカニズムが確立したことは別です。
「同じ時期に起きた」は、やっぱり原因の証明にはならない
太陽活動が強まった。
その近い時間帯に火山が噴いた。
この二つが並んでも、その間に物理的な仕組みが確認できなければ、因果関係までは決められません。
今回活動した火山には、以前から噴火を繰り返していたものが含まれています。
太陽活動との時間的一致だけを見るより、それぞれの火山で実際に観測されている地震活動、地殻変動、火山ガス、噴火履歴を見る方が、現在の活動を理解する材料としてはずっと直接的です。
では「火山灰で地球が寒冷化する」は本当?
こちらは太陽活動説とは違って、大規模噴火が一時的な地球寒冷化を引き起こす現象そのものは確認されています。
ただし、主役は空を灰色にする大量の火山灰そのものではありません。
Injected ash falls rapidly from the stratosphere
引用元:U.S. Geological Survey
火山灰の多くは比較的早く落下します。
長期的な寒冷化で重要になるのは二酸化硫黄(SO₂)です。
- 巨大な爆発的噴火で大量のSO₂が高高度まで上がる
- SO₂が成層圏へ入る
- 硫酸塩エアロゾルが形成される
- その粒子が太陽光の一部を宇宙へ反射する
- 地表へ届くエネルギーが減り、一時的な寒冷化につながる
噴煙が派手だから寒冷化する、火山灰が街へ降ったから寒冷化する、という単純な話ではありません。
今回すぐ「地球寒冷化」とは言えない
今回の4火山について気候への影響を見るなら、少なくとも次の情報が重要になります。
- どれほど大量のSO₂が放出されたのか
- どの高度まで到達したのか
- 成層圏へどれだけSO₂が注入されたのか
- 硫酸塩エアロゾルがどの程度形成・拡散したのか
- 噴火がどれくらいの規模・期間で続くのか
現時点で確認した情報から、今回の4火山噴火によって地球規模の寒冷化が始まると判断するのは早すぎます。
結局、今回の4火山噴火はどこまで異常なのか
ここまで追ってくると、最初に見た「インドネシアで1日に4火山が噴火」というニュースの見え方も、かなり変わってきたと思います。
4という数字だけなら、とんでもない異常事態が始まったように感じます。
でも実際には、以前から活動を続けていた火山も含まれていて、4つが一つの原因で同時に目覚めたと確認されたわけではありません。
その一方で、「じゃあ大したことないのか」というと、それも違います。
今回の状況は、「地球規模の連鎖噴火が始まった」と見るには根拠が足りない。でも、現地で起きている火山災害を軽く見ていい状況でもない。この二つを同時に押さえるのが一番しっくりきます。
実際に確認されていること
| 確認されていること | どう見るべきか |
|---|---|
| 9月6日朝までに少なくとも4火山で噴火が確認された | 「4火山噴火」というニュースの核自体は事実 |
| 4火山は同一時刻に一斉噴火したわけではない | 「同時噴火」より「相次いで噴火」が実態に近い |
| アナク・クラカタウでは約25時間の連続噴火があった | 今回の4火山の中でも特に注目度が高い |
| アナク・クラカタウはLevel IIIの警戒状態 | 連続噴火終了後も警戒が続いている |
| 降灰で複数空港・航空便へ影響 | 火口周辺だけではなく社会インフラへ実害が広がった |
| スンダ海峡では津波を示す海面異常を確認せず | 2018年と同じ津波災害が起きている状況ではない |
| 今回の噴火による日本への津波影響はない | 気象庁が最終的に影響なしと判断 |
現時点では根拠が確認できないこと
| 広がりやすい話 | 現時点の整理 |
|---|---|
| 4火山が地下でつながって連鎖噴火している | それを示す証拠は確認されていない |
| 今回の噴火は南海トラフ地震の前兆 | 今回の火山活動から結びつける科学的根拠は確認されていない |
| 次は富士山が噴火する | インドネシアの噴火から予測できる根拠はない |
| 太陽活動や地磁気の乱れが4火山を噴火させた | 今回の噴火原因と判断できる証拠は確認されていない |
| 今回の噴火で地球規模の寒冷化が始まる | SO₂放出量など気候影響を判断する材料が不足している |
「1日に4火山」は、それだけで異常の証拠にはならない
世界では常時、多数の火山が継続的な噴火状態にあります。
インドネシア自体も、複数のプレートがぶつかり合う非常に火山活動の活発な地域です。
なので、「複数火山が同じ日に噴火した」という一点だけでは、地球規模の異常を示す証拠にはなりません。
ここで見るべきなのは数より中身。
噴火規模はどうなのか。活動は一時的なのか継続しているのか。警戒レベルは上がっているのか。住民や航空網にどんな影響が出ているのか。
この条件を一つずつ見た方が、危険度はずっと正確につかめます。
インドネシアの4火山噴火に関するよくある疑問
2026年9月6日にインドネシアでは何個の火山が噴火した?
9月6日朝までに、少なくとも4つの火山で噴火が確認されています。
アナク・クラカタウ、イブ、イリ・レウォトロク、セメルの4火山です。
4つの火山は本当に同時に噴火した?
まったく同じ時刻に一斉噴火したわけではありません。
「4火山が同じ朝に相次いで噴火した」と見る方が正確です。
4火山は地下でつながって連鎖噴火している?
現時点では、そのような証拠は確認されていません。
同じ日に噴火したというだけで、「一つの火山が別の火山を噴火させた」とは判断できません。
アナク・クラカタウは今も危険?
約25時間の連続噴火はいったん終了したものの、火山活動そのものが終わったわけではありません。
警戒レベルはLevel III「Siaga」が維持され、火口中心から半径3km以内への立ち入りを避けるよう勧告されています。
2018年のような津波は起きている?
2026年9月6日時点では、今回の噴火に伴う津波を示す海面異常は確認されていません。
2018年にはアナク・クラカタウの大規模な山体崩壊が津波につながりましたが、今回すでに同じ現象が起きていると判断できる状況ではありません。
クラカタウ噴火で日本に津波は来る?
今回の大規模噴火について、気象庁は最終的に日本への津波の影響はないと判断しています。
今回の噴火は南海トラフ地震の前兆?
今回のインドネシア4火山の噴火を、南海トラフ地震の前兆とする科学的根拠は確認されていません。
次は富士山が噴火する可能性がある?
今回のインドネシアの噴火から、富士山の噴火時期を予測することはできません。
太陽活動や地磁気の乱れが原因だった?
太陽活動と火山噴火の統計的関係を調べた研究はあります。
ただし、今回の4火山噴火を太陽活動や地磁気の乱れが引き起こしたと判断できる証拠は確認されていません。
今回の噴火で地球が寒冷化する?
現時点では、そのように判断できる材料はありません。
巨大噴火による寒冷化そのものは実在しますが、重要なのは火山灰の見た目ではなく、大量の二酸化硫黄が成層圏まで到達して硫酸塩エアロゾルを形成するかどうかです。
インドネシア旅行や航空便への影響は?
ここは実際に影響が出ています。
アナク・クラカタウの火山灰によって複数空港が一時閉鎖され、航空便や多数の乗客に影響が出ました。
インドネシアへ渡航する予定がある場合は、航空会社、利用空港、インドネシア運輸当局の最新情報を出発前に確認しておきたいところです。
まとめ:4火山噴火は事実。でも「巨大な連鎖噴火」とは確認されていない
2026年9月6日、インドネシアで少なくとも4つの火山が同じ朝に相次いで噴火したこと自体は確認されています。
アナク・クラカタウ、イブ、イリ・レウォトロク、セメル。これだけ名前が並ぶと、どうしても「地球規模で何かが動き始めたのでは」と身構えたくなります。
ただ、ここまで一つずつ確認していくと、「4火山が噴火した」という事実と、「4火山が一つの原因で連鎖噴火した」という話は分けて考える必要があります。
今回の4火山が地下で一つにつながり、次々と誘発されたと判断できる証拠は、現時点では確認されていません。
一方で、だから「大したことはない」と片づけるのも違います。
とくにアナク・クラカタウでは約25時間にわたる連続的な噴火活動が起き、警戒レベルはLevel III「Siaga」のまま。火山灰は広範囲へ流れ、複数空港や航空便、住民生活にまで影響しました。
津波についても、2018年のアナク・クラカタウを思い出せば心配になるところですが、今回の観測ではスンダ海峡に津波を示す海面異常は確認されていません。
日本についても、今回のクラカタウ火山の大規模噴火による津波影響はないと気象庁が判断しています。
そして、今回の4火山噴火を南海トラフ地震や富士山噴火の前兆とする根拠も確認されていません。
今回のニュースは、「異常事態だから怖がる」「よくある火山活動だから気にしない」の二択で見る必要はありません。
現地では実際に大きな火山活動と社会影響が起きている。
その一方で、そこから巨大な連鎖噴火、日本の大地震、富士山、世界的寒冷化まで一気につなげられる材料は今のところない。
火山のニュースは、それだけでも十分すぎるほどスケールが大きいです。
だからこそ、数字や名前のインパクトに引っ張られすぎず、PVMBG、BMKG、気象庁などが実際に観測しているデータを追う。この見方が、今回のインドネシア4火山噴火を理解するうえでは一番確かです。
参考情報
インドネシア エネルギー鉱物資源省(ESDM)|アナク・クラカタウ約25時間の連続噴火とLevel III継続
インドネシア地質庁(Badan Geologi)|アナク・クラカタウ連続噴火に関する特別報告
BMKG|アナク・クラカタウ噴火による火山灰・航空・海域への影響
BMKG|スンダ海峡のInaTEWS多センサー監視結果
インドネシア運輸省|アナク・クラカタウ噴火による航空・空港への影響
気象庁|クラカタウ火山の大規模噴火について
気象庁|クラカタウ火山の大規模噴火について(第2報)
U.S. Geological Survey|一つの火山噴火が別の火山を誘発する可能性
U.S. Geological Survey|地震が火山噴火を誘発する条件
U.S. Geological Survey|火山噴火が気候へ与える影響
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