梅雨や台風と水害が増える季節になりました。
大雨が降ると危険なのは冠水や河川の氾濫ですが、用水路への転落事故も増えます。
特に岡山では用水路トラップと言われるほど、大雨じゃなくても夜間に用水路に転落する事故が起こっています。
転落事故が多い理由として、岡山の用水路には蓋も無ければ柵も無い所が多いということです。
そして用水路は田畑の為に引いてあるものですから、当然用水路の脇には田畑があります。つまり建物から漏れる光など夜間に道や用水路を照らす明かりも少ないです。
様々な理由から転落事故が絶えない岡山県ですが、他県在住者から見るとなぜ事故防止の対策をしないのか?
転落防止の柵を設置しないのかと疑問に思います。
そこで岡山県が柵を設置しない理由を調べたところ驚くべきことがわかりました!
では早速見ていきましょう。
岡山県の用水路に柵が無い理由
まずは岡山の用水路の画像を見ていただければ・・・、用水路トラップと呼ばれるのがよくわかります。
亡くなっている被害者も多いですので不謹慎ですが、これはトラップと言われても仕方有りません。
岡山の即死トラップ用水路はすごいですよ
画像の赤枠内が用水路です pic.twitter.com/YyUMpVt2BM— とが (@toga_uma) December 16, 2022
大雨で増水すると路面と同じ高さになり、曇天の薄暗さと汚れた水の所為で道路と同じ色に見えてしまいます。
これは危険ですね。
せめて段差があるとか、柵が有れば良いのですが、なかなか設置されません。
こちらも過去に車が用水路に転落した現場ですが、片側だけやっと柵が設置されました。
【朗 報】岡山人を飲み込む人食い用水路にフェンス(片側)が設けられました! pic.twitter.com/UG7mW5EFmP
— ニュー伊吹 (@ibukiinterpress) July 14, 2019
どうして設置されないのでしょうか?
用水路に柵が設置されない理由は?
なにか地域性といいますか、岡山県の文化みたいなもので用水路に段差をつけたり柵をつけることがダメなのかと思い調べてみましたら、驚きのことがわかりました!
用水路に柵が設置されない理由はなんと!
お金がない!
(予算が足りない!!)
ということでした!
そんな馬鹿な!と思う方も多いと思います。
なにせ市民が、国民が被害にあい犠牲になっているのに国も動かないのか??と憤りすら感じます!
しかし、これにはちゃんとした理由がありますよ。
直接的にはお金が無いことが柵が設置されない理由ですが、その規模が予想の遥か上を行くものでした。
そうなんです!用水路が多すぎるのです!
岡山県の用水路はどれだけ有ると思いますか?
岡山県の用水路はどのくらい有ると思いますか??
100km?
500km??
1,000km???
いやいや
実はなんと
4,000km
も有るんですよ!!
何も毎年柵の設置をコツコツやっていけば良いじゃない?
とお思いでしょう?
岡山県ももちろん毎年コツコツ予算をつけて柵の設置を行っています。
しかし4,000kmという距離はとんでもない長さなんですよ。
ちょっとピンとこないですよね?
4,000kmというのがどのくらいの距離かと言いますと・・・
日本からベトナムまでの直線距離
なんですよ!!
そうなんです、日本からベトナムまで両側に柵を延々と設置しなければならないんですよ。
片側だけでも済む場所もあるでしょうが、片側だけ設置の区間が半分くらいだと仮定すると、総距離6,000km分の柵を設置しないといけないんですよ!!
これは数年では物理的にも予算的にも無理ですよね・・・
岡山県の用水路にはなぜ蓋や柵が無いの?
現在は住宅地となっている場所も60年前は水田でした。
その水田の中を通る用水路でしたので、日が落ちて暗くなった夜間に用水路のそばを通ることがなかったのですね。
また岡山県南部は特に干拓事業で一気に農地を広げたので、その時に一緒に用水路も整備しました。
水田に水を引き入れる用水路ですので、日中の明るい時間に農作業をするだけの場所でしたから蓋も柵も必要がなかったのでしょう。
また一気に干拓事業から農地を広げたので複雑な蓋付き用水路や柵付きにすると、用水路の泥の掻き出しなどの整備をする上で煩雑になるからつけなかったのだと考えられます。
ところが近年の減反政策や跡継ぎの問題、遺産相続の問題などや新興住宅地の造成などの所為で水田を手放し、住宅地へと変えてしまったことで、用水路が生活空間の一部になっていしまったのでしょう。
住宅地造成する時に用水路を安全なものにする(蓋の設置や柵の設置など)対策を義務付けていれば、現在このようなことにはなっていなかったのかもしれません。
用水路の柵の設置はどこまで進んでいるの?
岡山県の用水路の柵の設置は毎年予算を組んで順次行っているようです。
被害が多発しており、昨年1年では260件以上の事故が起きているとのことで、平均で1週間に5件の用水路への転落事故などが起きている計算になります。
実際岡山県では2016年から柵の設置工事を順次行っていますが、2021年までには約90kmの設置が終わったということです。
5年かけて90km分です。予算にして13億円かかるようですよ!!
半分の区間が片側のみ設置と仮定すると、総距離は135kmです。
4,000km分の用水路に柵を設置するとなると、単純計算して、
578億円
かかることになります。
予算的には国が外国に色々支援している金額から考えると・・・できそうですね。
また色々言われている男女共同参画基本計画関係予算は令和2年度で約10兆円あったそうですから・・・600億円くらいポンッと出ませんかね?
しかし同じペースで設置工事をすると約222年かかります。
いや、これは業者を増やしてい集中してやればそれだけ早くは終わるでしょうけど。
まとめ
岡山県で用水路トラップとまで呼ばれる危険な用水路が多いのは、
もともと干拓事業などで一気に広げた水田地帯の中に通っていた用水路だったので、定期的な泥掻きや整備の利便性・効率性を考えて蓋や柵の設置がされていなかったこと。
様々な理由で水田地帯が住宅地に変わり、その時に用水路の安全策を義務付けなかったこと。
岡山県の用水路の総延長が4,000kmと想像以上の長さとなり、予算と工事が事実上厳しいこと。
が理由になります。
岡山県も毎年予算をつけて危険な用水路に柵の設置を順次行っていますが、住宅地や幹線道路などの人々の生活圏内になってしまい、また街灯などの明かりも少ないことにより夜間見えにくく転落してしまうということでした。
特に近所の方は慣れている、そこに用水路が有ることが当たり前過ぎて油断したり、咄嗟の時に転落してしまったりするようです。
水位が低い用水路でも路面からの落差はそれなりにありますので、自転車などの店頭で落ちた場合には打ちどころが悪く気を失ったまま水没することも有るようです。
近くや通学路・通勤路に柵や蓋のない用水路が有る方は今一度意識して用水路を見るようにしてください。
これからは線状降水帯や台風の影響などで大雨となることもあります。
用水路があふれるほど水位が高まったときには道路面なのか水面なのか、特に夜間では見えにくくなりますので十分に気をつけてください。
国にはぜひとも予算をつけて早急に危険な用水路の安全策徹底をお願いしたいですね。
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